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検索データの地域特性と、季節イベント後の「リメイク」需要

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中村耕史(クックパッド トレンド調査室 ディレクター)

ここでは、『販促会議』2014年12月号に掲載された連載「検索ワードから考えるクロスMD施策」を紹介します。

地域別データによる新たな提案の可能性

販促や営業企画業務を担当している方の中には、首都圏のみで行われている食卓日記調査と地方のスーパーのPOSデータの比較を通じて「おでん」の商機を発見したという話を耳にしたことがあるかも知れない。

「おでん」は西高東低型のメニューであり、味付けや具材も地域によって異なる。食卓日記調査以外に定点的に食卓を把握する方法が存在しなかった頃はやむを得ない比較方法だったと言えるが、地方のスーパーに提案を行うのであればその地方のデータを比較対象とした方がより適切な切り口の発見につながるだろう。

例えば、エリア別分析ができる「たべみる」で2013年の「おでん」のデータを見ると、10月中旬と11月上旬に大きな検索の山があるが、北海道はこの二つの山がほぼ同じ水準なのに対し、九州は11月の山が明らかに大きくなっているという違いがある。また、味付けや具についても九州では「里芋」が全国の2.2倍、「鶏手羽」が1.63倍、「白だし」が1.25倍、組み合わせて検索される割合が高くなっている。

検索頻度の高さは「食べられ方」の把握とともに「関心の度合いの高さ」を表すデータだ。例えば、八丁味噌は愛知県で主に消費されているが、首都圏でも高い頻度で検索されており、食べ方提案次第ではさらなる消費拡大のチャンスがありそうだ。

食品メーカーの営業現場では東京を中心とした全国一律の提案ではなく、地域特性を捉えた提案のニーズは高まる一方だと聞く。従来のデータでは食の地域特性を捉えた提案は難しかったが、「たべみる」のようなエリア分割して地域間での特徴の比較が可能なデータを活用することで、定番メニューでも実は地域差があることが見え、新しい発想のヒントになる。

今や全国区となった「恵方巻」「にんじんしりしり」も元々は特定の地方での特徴的な食べられ方だった。地域特性を捉えることは、単に営業の強化につながるだけでなく、新たなヒットメニューのヒントともなるのではないだろうか。

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