【嶋浩一郎×田端信太郎×本田哲也×谷口マサト】2014年の広告業界を振り返る(後編)

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「2014年の広告業界を振り返る!」(前編)はこちら

2014年も残すところ1カ月を切りました。今年も次々と新しい手法や概念が登場した、日本の広告業界。今回は博報堂ケトルの嶋浩一郎氏、さらに今年『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』を共著で刊行した田端信太郎氏、本田哲也氏、『広告なのにシェアされるコンテンツマーケティング入門』(宣伝会議)を刊行した谷口正人氏の4名の広告・メディア業界の論客に集まっていただき、2014年を振り返っていただきました。<本文中・敬称略>

オウンドメディアに必要なのはスキルよりもマインドセット

田端:オウンドメディアも今、企業の人たちが力を入れていますよね。これって、やる側の論理は分かるんだけれど、でも、「それって見る人、読む人は何が嬉しいんでしたっけ?」みたいな視点が欠けているような気がします。

谷口:そもそも、メディアのオーナーは怒られることを覚悟しないとできないですよね。「叱られる力」がオウンドメディアの編集長には必要だな、と。

田端:そういう意味で、企業の人たちがメディアを持てるようにはなったけれど、自らがメディアになる訓練はされていないかも。これって能力の問題ではなくて、マインドセットの問題というか。オウンドメディアと言う時に、「オウンド」という言葉の方に傾倒してしまっていて、本来大事な「メディア」の方に意識が向いていないのかも。

嶋:オウンドメディアを作るって、そう簡単ではないでしょ。矢面になる覚悟が必要。もう「マイボールメディア」とか、「当事者意識メディア」とか名前を変えたほうがいいですよ。

田端:メディアって、とにかく自分たちがやりたいからやっているみたいな情熱がないと続かないですよね。

谷口 マサト氏

谷口:オウンドメディアは、好きなことをやるというのがモットーの「デイリーポータルZ」を見習った方がいいですね。あれもニフティのオウンドメディアですし。
田端:オウンドメディアを始める時には、支持してくれるユーザーを人質にとって、経営陣と抜き差しするくらいの覚悟がないと駄目なんじゃないかな。

本田:メディアを持つって、ジャーナリズムを社内に取り入れるということだから、本当は相当な覚悟がいるはずですよね。実はアーンドメディアの方が、相手側に委ねてしまえる分、オウンドメディアよりも覚悟はいらないのかも。

田端:ジャーナリズムがなくとも、サントリーの「カクテルデータベース」みたいな役に立つソリューションに徹するという方向性はあると思います。

嶋:確かに、レシピとか使ってもらえる系はありますね。

本田:使ってもらえる系もありだとは思いますが、これからはよりアクティブに発信していく方がよいと思います。編集長がポリシーを持って発信するとリスクは付きまといますが、そうでなければ読者のロイヤリティは獲得できないんじゃないか、と。

田端:メディアってコンテンツの中身も大事ではあるけれど、特にネットの場合には「誰が」発信しているかの方が、大事になってきたりしますから。

嶋:ソーシャルメディアがある時代だから、何かあればすぐに叩かれる。「当事者意識」は、広告のクリエイターであっても必要になってきていると思いますよ。

田端:でも企業の宣伝部とか普通の会社勤めをしている人にまで、「覚悟を持て」「当事者意識を持て」というのは、ちょっと酷な気がするのもわかります。
でも厳しい言い方ですけど、人事のローテーションでたまたま宣伝の仕事をしていますという人は、存在意義はなくなっているように思います。その会社の社員でい続けることよりも、宣伝のプロになることを選べる人じゃないと、これからの時代は難しいんじゃないか、と。

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