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JAPAN ACTIVATION〜2020年へ向けての日本の「集客」のあり方を探る〜

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東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は日本にとって大きな転換点となる。2020年を節目とし、未来の日本をどうデザインするべきか?アサツー ディ・ケイ(ADK)と宣伝会議は10月17日、虎ノ門ヒルズにて、生活者の変化とその予測から未来を構想する特別フォーラムを開催。各界で活躍する特別ゲストや、全部で10の重要業界をカバーする、ADKの専門家集団「カテゴリーチーム」による示唆に富んだセッションが行われた。

登壇者

  • 宮田 達哉 氏(旅行・レジャーカテゴリーチームリーダー)

ゲスト

  • 村山 慶輔 氏(やまとごころ 代表取締役 兼 インバウンド(訪日観光)ビジネスコンサルタント)
  • 村上 徹夫 氏(テレビ東京 プロデューサー)

2020年、訪日観光客2000万人達成を目指して

2020年に向けて、日本政府は外国人旅行客を2000万人にする目標を掲げている。2013年に突破した1000万人を倍にする計算だ。訪日外国人が11人集まると、定住人口1人あたりの消費が生まれると言われており、少子高齢化が進む日本の経済においても外国人観光客の増加は大きな鍵を握っている。

2020年の東京五輪開催までだけではなく、それ以降を含めても消費の鍵を握る外国からの旅行者をいかにとらえるかが日本を活性化させることにつながると考えた「旅行」「レジャー」の2カテゴリーチームは、ゲストを交えて「JAPAN ACTIVATION〜2020年へ向けての日本の『集客』のあり方を探る」と題するセッションを行った。

Youは何しにニッポンへ?人気番組プロデューサー登場

村上 徹夫 氏(テレビ東京 プロデューサー)

村上 徹夫 氏(テレビ東京 プロデューサー)

初めに、テレビ東京の人気番組「Youは何しにニッポンへ?」のプロデューサーを務める村上氏が、番組の映像を通して、番組で密着した外国人旅行者達が何を求めて、どんなことを体験したのかを紹介した。

2012年に放送を開始した同番組ではこれまで、成田空港や関西国際空港などに到着した外国人に声をかけ、その訪日の目的をインタビューしてきた。2万5000人を超える訪日外国人のインタビューから見えてきたものは、「千差万別の外国人が千差万別の感覚で来日していて、彼らの心に刺さっているのは日本がオンリーワンで持っている、これまでの歴史で築き上げてきたもの」だと話した。

また、ノープランで突然訪問してきた外国人に対しても、現地の人が普段通りに暖かく迎えることも感動を呼んでいたことから「外国人を呼ぶためのキラーコンテンツは日本的なもの」と指摘した。

人気スポット「点」での集客から点をつなぐ「面」での集客へ

村山 慶輔 氏(やまとごころ 代表取締役 兼 インバウンド(訪日観光)ビジネスコンサルタント)

村山 慶輔 氏(やまとごころ 代表取締役 兼 インバウンド(訪日観光)ビジネスコンサルタント)

続いて、外国人観光客を受入れる企業のコンサルティングを行っている村山氏が、集客に必要なポイントを3つ挙げた。

ひとつは日本を訪問する外国人の目線を持つこと。彼らがどこで情報を集め、どんなサービスを求めているかを知ることが外国人の考える「日本らしさ」の理解につながると話した。

2つ目は口コミとインターネットで、その事例として、旅行に関する口コミサイト「トリップアドバイザー」内で、東京の人気NO.1アクティビティとなった料理教室や、岐阜県の飛騨古川で行われている「里山サイクリング」を紹介した。口コミで人気を得るためには、目の前にいるお客さまに満足し、感動してもらうことがポイントになると話した。

最後は「面」で呼び込むことを挙げ、ドン・キホーテが2008年に外国人観光客向けの部隊を作り、そこで配布した地図を例に解説した。当初、駅とドン・キホーテの店舗だけが載せられていたものに、周辺の飲食店やホテルなどを合わせて掲載したことで地図としての機能を上げるとともに、ドン・キホーテの店舗という点だけでなく各施設をつないだ面として町を紹介することにつながった。この地図を含めたプロモーションでドン・キホーテは2013年までに外国人向けの売上げを30倍に伸ばした。

村山氏は「外国人はドン・キホーテに行くためだけに日本に来るわけではなくて、町全体を訪れたいから来る。訪れた町のなかにドン・キホーテがあるという意識で取り組んだ結果がこの売上げ増につながっています」と話し、これを町だけでなく都市の規模で見て、東京から大阪や名古屋などを含めた日本全体を面として考えることが重要だと話した。

「機くばり」にフォーカス 実現で大切なのは「個の力」

宮田 達哉 氏(旅行・レジャーカテゴリーチームリーダー)

宮田 達哉 氏(旅行・レジャーカテゴリーチームリーダー)

最後は3者によるディスカッションが行われ、東京オリンピック招致のプレゼンで注目された「おもてなし」について意見がかわされた。

村山氏は、おもてなしという言葉だけが先行している状況をもったいないと話し「本当はちょっと挨拶するだけでも喜んでもらえる」と指摘。村上氏も番組で密着した外国人が居酒屋で出会った人に「一期一会」という言葉を教えてもらい、その外国人が密着を終え出国するときに自ら一期一会と書いてスタッフに見せたエピソードを例に出し「偶然出会った人に言葉を教えたりするような、確定されたものではないささやかなことがおもてなしなのではないか」と話した。

また、村山氏は外国人観光客をうまく受入れている施設は、旅行者にストレス無く楽しんでもらう環境づくりができていると話し、サービスを受ける側になったときに感動したこと、嫌だったことを逆算してサービスを考えることが大事だと指摘した。

こうしたディスカッションを経て、宮田氏は「おもてなし」には構えた対応をするのではなく「地道に満足を求める人に対してサービスを提供することが重要」だと話し、そうした姿勢のキーワードとして「機/期くばり」という言葉を挙げた。

誰かに対しての心遣いとしての「気配り」からもう一歩進めて「私たちが迎える側として、外国から来た人達の期待に応える「期くばり」コミュニケーションや、一期一会の精神を持ちつつ、人種や国籍にとらわれず、通常の機会としてコミュニケーションをする「機くばり」が、今後日本への集客を考える上でフォーカスされていく「個の力」になるのではないか」と話し、セッションをまとめた。