Twitterとテレビの関係を分析する
このように、調べれば調べるほど、Twitterはテレビと関係が深く、視聴率にも何らか影響を及ぼしているのが実感できましたが、一方、調べても調べてもはっきりしたことは見えませんでした。何%上がったら視聴率が何%なんてのも、番組のジャンルや傾向、その時々の状況などに左右され、明確になんてとても言えるようにはなりません。
ならないから、調べても意味がない、というわけではないと思います。まだまだ、これからなのです。ツイートの数を拾うだけではないのでしょう。他のさまざまな要素と合わせて分析したり、影響力を見通すための題材にはまちがいなくなるはずです。
2014年の秋からビデオリサーチ社が発表しているTwitter TVエコーはそんな取組みのひとつです。番組ごとの投稿数だけでなく、それが表示された人の数、インプレッション数をTwitter社との提携のもと、算出しています。ソーシャルテレビが番組に与えた影響力を数値化しているのです。これをどう活かすかはまたいろいろ調査結果が出てくるのではないでしょうか。
Twitterの分析で知られるデータセクション社に、先ほど紹介した「みるぞう」をニフティ社で開発した伊與田孝志氏が移籍し、引き続きTwitterとテレビの関係を分析しています。ソーシャルテレビ推進会議の創設時からのメンバーでもある伊與田氏は、番組のツイート分析についてこんな図を作って見せてくれました。
これは、テレビ番組に関するツイートをもっと多角的に見なければいけないのでは、という考え方を示しています。
まず番組内、つまり放送中のツイートはそのすべてが番組への意見や感想をつぶやいているわけではない。大まかな内訳はこんな感じなのだそうです。ほとんどはスパムで、そこは省いて見ないといけない。それ以外の部分も、番組内容への反応。よくあるのが、好きな出演者の登場シーンで「キターーーッ」などとつぶやく。画面に映った変なものにものすごくツッコミツイートがつくなんてことも多い。ほんとうに番組について評価したり次回の視聴へもつながりそうなツイートはとくに番組終了間際を中心に、必ずしも多くはないのでそこをこそ見なければならないのだと言います。確かに、最後にクレジットが流れるあたりで「これ面白い!」「これは新しいパターン!」などと全体の感想がタイムラインにどどーっと流れることは多いです。
それから、番組外つまりは放送中ではない時のツイートも分析対象になるとのこと。盛り上がった番組ほど、放送後もずっとつぶやきつづけるものです。それにタイムシフト視聴でつぶやく人も多い。見逃し無料配信が整ってきたいま、前にもまして“番組外”のツイートも重要になりそうです。
ようするに、ソーシャルテレビは始まったばかりで、まだまだ試行錯誤の段階。テレビ局がネットを取り込もうとし、ソーシャルメディアの活用もいよいよ本格的になってきたいまから、さらに見えてくること、わかってくることが出てくるのでしょう。それに、この分野はなんだか面白いのです!
勉強会にご興味ある方は、私のサイトからご連絡ください。勉強会と言っても、毎月集まって飲み会をやっているようなものなので、堅苦しく考えなくても大丈夫ですよ。
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境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現・I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。ブログ「クリエイティブビジネス論」(http://sakaiosamu.com/)はハフィントンポストにも転載される。著書『テレビは生き残れるのか』(ディスカバー携書)株式会社エム・データ顧問研究員としても活動中。
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