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パルコの「接客」はデジタルで進化する

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【連載企画】生活者に「選ばれる」企業をつくる デジタルマーケティング対談
第1回 パルコ 林氏 × IMJ 加藤氏

IMJ
オムニチャネルへの関心が高まる中、流通業界には新発想のビジネスモデルが求められる。パルコはデジタルツールを活用しながら、熟練した店舗スタッフのコミュニケーション能力をより引き出す接客のあり方を模索し、様々なチャレンジを進めている。パルコの林直孝氏とアイ・エム・ジェイ(IMJ)の加藤圭介氏がリアル店舗を持つ企業のデジタルマーケティングのあり方やO2O戦略について語り合う。

ブログの導入で店頭での接客がスムーズに

加藤 パルコさんは、「24時間パルコ」というコンセプトを掲げ様々なオムニチャネル戦略を推進されています。手応えはいかがでしょうか。

 2013年3月にWEBコミュニケーション部が設立され、まず着手したのがサイトのリニューアルでした。全店舗でテナントショップのブログをメインに据えました。

スマートフォン時代にお客様とのコミュニケーションをどう取っていくかは、当時から経営課題の一つでした。

お客様が最も知りたいのは商品に関する情報ですが、当時のサイトではスピーディーに対応できていませんでした。ショップ発のブログによって、そうした情報をいち早く提供できるようになったのです。

リニューアル後最初の1カ月で、パルコ全体のショップブログ記事の合計は1万本超、ブログページのPVは月間約250万PVに上りました。それだけWeb上で接客ができているとも言えます。さらに購買にもつながっていて、まさにO2Oが実現できています。

昨年5月に導入した「カエルパルコ」は、ブログ上で気になる商品をE Cまたは店頭取り置きで注文できるシステムです。カエルパルコの売上は、ブログ記事を書いたスタッフの成績に反映されるのでモチベーションが全く違います。

加藤 「ワン・トゥ・ワン」や「カスタマーファースト」といった概念ですが、日本語で「おもてなし」と言った方が実感が湧きやすいと考えています。パルコさんはまさに「おもてなし」を実践されていますね。そのほかの取り組みではいかがですか。

 渋谷と池袋パルコの店内に大型モニターを複数台並べたデジタルサイネージ「P-WALL」を設置して、常に1000 アイテムの情報を流しています。

将来的には「P-WALL」のログデータを活用し、閲覧履歴や購入履歴をもとにレコメンデーションに使うようなことを店頭でも取り組めたらと思っています。

加藤 レコメンドは本来、ショップスタッフの能力によるものが大きいと思いますが、デジタルツールの導入で変わったことはありますか。

 ブログの最大の価値は、店頭での接客がよりスムーズになることです。

お客様の方から「あれがブログに出ていた商品ですか?」と声をかけてくださる。集客力のあるブログは、その延長線上に店頭があります。それに気づいているスタッフは、プライベートな話題も盛り込んでお客様と共通の話題をつくります。こうしたノウハウは講習会を通して全店で共有しています。

加藤 店頭接客に様々なデジタルテクノロジーを活用することで、新しい買物価値を提供することができると感じます。例えばそこまで欲しいと思っていなかった商品でも、ブログを見て少し欲しい気持ちになり店頭で店舗スタッフと話していたら「出会ってしまった」という感覚になって手が伸びてしまう。そうした新しい消費が生れてくるかもしれません。

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