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パルコの「接客」はデジタルで進化する

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店舗スタッフ自身がオムニチャネル化していく

加藤 ECでは行動データや購買データから顧客層をセグメントして、その後、仮説ベースでA/Bテストなどを繰り返しますが、リアル店舗ではどうですか。

 ショップ店員はおそらくA/Bテストという言葉を知りませんが、無意識のうちに実践しているところがあります。ブログに上げる写真の撮り方で反応の良し悪しがあることを現場で体験して、より魅力的に見られるよう改善しています。

加藤 経験からくる感覚が正しいことは多いですよね。感覚が7割正しいとすると、データは残り3割のうちの1~2割を埋める。そういう考え方がマッチするかなと思います。

 昨年11月にオープンした福岡パルコ新館では、ポスターを全てデジタルに置き換えました。ブログと連動していて、お客様の動線上で注意を惹く設計にしています。

スタッフはリアルに自分の記事がお客様に見られていると感じて、記事の内容や写真の撮り方により気を配るようになりました。

加藤 最初からデジタルサイネージがショップスタッフのモチベーションになるところまで考えて設計されたのですか?

 そう意図して設計しました。公式アプリ「POCKET PARCO」もブログの情報がフィードされます。アプリはブランドを知らない人が見ることが前提であることを意識するように、ローンチ前の研修で話しました。

加藤 自ら撮ったものが多くの人に見られ、それが売上につながっていると実感することでモチベーションは上がります。スタッフ自身がオムニチャネル化しているような感じですね。

 おっしゃるとおりで、接客そのものをオムニチャネル化するために、テナントさんの人と情報をオムニチャネル化する仕組みを整える。それが我々のオムニチャネルの定義なのです。

加藤 デジタルでは多くのデータが取得できますが、これらのデータの活用をデジタルの中だけに閉じて考えるのはもったいないですよね。

 我々が次にやろうとしているのは、デジタル化で把握したビッグデータを接客に使えるようなアウトプットにすることです。ショップに足を運ぶ価値を生み、お客様が店頭に来る確率が上がれば成功だと思っています。

加藤 逆にECでも店員さんの顔が見えるような演出をできるようになれば、リアル店舗との相乗効果が発揮できるでしょうね。

 リアル店舗では、人に紐づいた「購入されなかった履歴」は取れません。購入の有無のデータを組み合わせることができれば、違う次元のマーケティングデータになるでしょう。

加藤 買われなかったという情報はECでも重要で、購入と購入されなかった差を分析して、買ってもらえるように最適化しています。

 そういう情報はとても大事なことで、まさにビッグデータの使い方はそういうところです。有用な情報を分かりやすくテナントさんに伝えられるような仕組みをつくりたいと思います。

加藤 経営戦略や事業戦略の視点からも、デジタルの影響力はますます拡大しています。お話を伺って、デジタルマーケティングをサポートする我々としてはクライアントの業務や業態をこれまで以上に理解する必要があると改めて実感しました。

そのために、今後はオンサイト型(客先常駐型)でサポートする体制も今まで以上に必要になってくるだろうと感じました。