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コラム

良いコピーをどうやって書くか、ということより先に知っておかないといけない話。

無料広告学校というCSR(2.0)。

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かく言う僕も「2.0」やってます。
7年ほど前から「無料広告学校」を始めました。
当時共同経営者だった米村浩(今は博報堂)と隔週交代で、毎週月曜の夜に10数名の受講生を相手にワークショップ形式で広告ストラテジー&表現を教えています。
これ、始めた当初は「CSR1.0」でした。
すなわち寄付感覚。
僕らは「なんちゃってCSR」と呼んでましたが、自分たちの身を削って、そのぶん広告クリエイティブ業界に何らかの支援・貢献をしようという感覚です。

しかしこれを続けているうちに、いつしか「教える技術」が身につきました。
若い人たちを通じて広告クリエイティブ業界の課題も見えるようになりました。
その結果として本の出版につながったし、前回でも言いましたが、セミナー、講義、講演、研修の依頼が殺到していて、どれも好評です。
以前もセミナーはやっていましたが、それほどではなかったと思います。
コンサルティングの技術も、もしかしたらここで磨かれていたのかもしれません。
無料広告学校は、プロダクションに就職したものの指導してくれる人もおらずどうしていいかわからない、など、「クリエイティブで困ってる人」の救済を基本目的としています。
一般の受験や就職面接とは真逆で、困っているかどうかが第一の選考基準になりますので、優秀な人が落ちることもあり、「困った人」「残念な人」も集って来ることになります。
そういう場だから自分のスキルも鍛えられているのかもしれませんね…。
(ちなみに無料広告学校は今後も続ける予定です。来期は4月に応募受付開始します)
「1.0と思ってやっていたら2.0になっていた」のも、今後のCSRの姿と言えるでしょう。

そして「2.0」はコンテンツマーケティングと相性の良いことに気づきました。
ターゲットが興味あるコンテンツを先に用意しておこう、というのがコンテンツマーケティングの要諦ですが、社会課題はみんな興味あるので、そこはコンテンツにしやすいと思うのです。
つまり企業のマーケティング、コミュニケーションに取り込みやすいと言うこと。
今後、そういう取り組み・座組みも図っていきたいと考えています。

「ここらで広告コピーの本当の話をします。」著:小霜和也/発行:宣伝会議(2014/10/29発売)詳細はこちら

皆さんもボランティアやろうという気になったら、「与える」「寄付する」感覚ではなく、自分の技術を磨きにいくのだ、という感覚でおやりになるといいと思います。
企業も含め、今後はそういう潮流になっていくでしょうし、していくべきかと。
そして若手コピーライターは、もうちょっと社会課題に興味を持った方がいいです。
無料広告学校でもいつもこんな風なのですが…。
「この原油安はOPECのシェールガス潰し、次世代エネルギー潰しの思惑が働いてると言われてるけど、これはしばらく続くだろうか?だとしたら再生エネルギー、エコカーといった日本のグローバル戦略技術にも影響出て来るよね?」
「(一同口を半開きで)ポカーン」
(´;ω;`)
業界本の前に日経を読みましょうね。

次回は「~最終章~おれたちの冒険はこれからだ!」です。

小霜和也(小霜オフィス/no problem LLC. 代表)
Creative Consulting / Direction / Copywriting
1962 年兵庫県西宮市生まれ。1986 年東京大学法学部卒業。
同年博報堂入社、コピーライター配属。1998 年退社。
2014年現在、株式会社小霜オフィス no problem LLC. 代表。