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コピーライターを感動させた4年2組「俳句の授業」から考えるファシリテーターの役割

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プロのコピーライターが「何も言えねぇ…」

次の授業では、担任の先生のツテで、俳句教室の先生などをしている方をお二人ゲストに招きました。早速子ども達が、1回目の授業で考えた質問をぶつけます。子どもたちの質問はいつもストレート、こんなやり取りが繰り広げられました。

「先生、俳句が上手になると、お金持ちになれるんですか?」

思わず苦笑いの先生方でしたが、優しく答えてくれました。

「う〜ん、残念ながら、俳句ではお金持ちにはなれませんね。でも、素敵なお友達をつくることができるんですよ。どんな友達ができるかというと、今日は雪が降っていますが、それを見て『これは春の雪だね』『そうだね、もう春が近いね』と話し合えるような友達です」

ちょうどその日は2月の寒い雪が降る日でしたが、同じ雪にも「冬の雪」と「春の雪」があり、その季節の微妙な変化を共感できる、そんな友達が増えるのが俳句の魅力だと語ってくれたのです。「微妙な変化」という言葉の意味がイマイチわからない、そんな表情を見せていた子どもたちでしたが、先生の具体的な話を通じて徐々に言いたいことがわかってきたようでした。

自分たちだけでは思いつかなかった俳句のよさの新たな一面を発見して、俳句のよさの深堀がまた一段と進んだようです。子どもたちの頭の中には、材料が徐々に揃ってきました。

続く3回目の授業では、俳句ならではの良い所を一つに絞り込んで、キャッチコピーを作りました。短い授業時間の中で、なんとかすべてのチームが珠玉のキャッチコピーを練り上げました。どれもが素晴らしかったのですが、目を見張る出来だったのが次の作品でした。

「聞こえない季節の声が、聞こえるようになる」

これは、2回目の授業で聞いた俳句の達人のエピソードが元になっています。外に降る雪を見て、これは春の雪だ、もうすぐ春がくるんだ、という季節の微妙な変化がわかるようになる。

それを俳句ならではの魅力として捉えているのですが、それをそのまま「季節の微妙な変化がわかるようになる」というキャッチコピーにしても、俳句をやってみようかな、とはあまり思いません。

微妙な変化をあえて「声」と言い換えて、「俳句を始めると、日々の生活で小さな季節の『声』が聞こえてくるんですよ」と言われると、なんだかそんな小さな声が聞こえる人になりたいな、と思ってしまうから不思議です。俳句そのものにはそれほど興味がなくても、もしもそんな感覚が身に付くなら、ちょっと俳句をやってみてもいいかな、とついつい気になってしまうのではないでしょうか。

この作品を見たプロのコピーライターは「何も言えねぇ…」と、ただ感動していました。

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