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ヤングカンヌPR部門エントリー受付中!近見竹彦×嶋浩一郎「若きPRパーソンの挑戦待つ」

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2015年6月の「カンヌライオンズ」開催まで約4カ月。今年も28歳以下に限定した「ヤングライオンズ・コンペティション」、通称「ヤングカンヌ」が開催されます。2014年に新設されたPR部門では日本代表チームがゴールドを受賞しましたが、今年も国内選考の受付がスタートしました(締切:3月18日)。
「国際的な舞台は自己を成長させる大きなチャンス」と話すのは、国内選考の審査委員長を務める嶋浩一郎氏(博報堂ケトル 代表)。近見竹彦氏(日本パブリックリレーションズ協会 理事長)とともに、若手PRパーソンの活躍への期待を語り尽くします。

初年度、日本チームがゴールドをさらって話題に

——今年もヤングカンヌのエントリーがスタートしています。PR部門は、まさに今受付中ですね。

嶋浩一郎氏(博報堂ケトル 代表)

嶋:はい、3月18日(水)が締切です。PR部門は昨年に新設され、14カ国の代表チームが参加して、日本代表で出場したアサツー ディ・ケイのチーム(梅田哲矢さん&岡田雄一郎さん=所属は当時)が見事ゴールドを獲得しました。

ヤングカンヌは過去に日本チームのゴールドの受賞は例がなかったのですが、昨年はPR部門とプリント部門で日本チームがゴールドに輝き、日本の実力を示す場になりました。

近見:統合的なコミュニケーションが広がり、PRパーソンの専門性を大きく発揮できる今だからこそ、今年は2014年に増してたくさんの人に挑戦してほしいですね。

広告会社のPRセクションだけでなく、PR会社からもぜひ参加してもらいたい。日本パブリックリレーションズ協会としても呼びかけに力を入れています。マネージャーの方にはそういう努力をする若手を応援していただきたいですし、各エージェンシーとしても新たな領域の開拓としてバックアップしてほしいと考えています。

——改めて、ヤングカンヌの枠組みを教えてください。

嶋:ヤングカンヌは毎年カンヌライオンズで行われている、28歳以下を対象としたコンペティションです。各国の予選を突破した代表チームが2人1組で参加し、当日その場で出された社会的な課題に対して24時間以内に作品を仕上げ、英語でプレゼンテーションをします。
 
PRを含めて6つの部門があり、PR部門の国内選考は審査委員長を僕が、ほかに電通の石田茂さん、電通パブリックリレーションズの井口理さん、プラチナムの吉柳さおりさん、ブルーカレント・ジャパンの本田哲也さん、博報堂の宮川尚子さんが審査委員を務めます。2人1組のチームは会社が違ってもいいし、広告会社とPR会社でタッグを組んでも構いません。

——昨今、カンヌ自体でも、PRの視点で効果を高めた事例が評価されています。ヤングカンヌのPR部門新設には、そうした背景もあるのでしょうか?

近見竹彦氏(日本パブリックリレーションズ協会理事長)

近見:そう思います。元々カンヌはグラフィックとCMを中心とする広告の祭典でしたが、近年サイバーやPRなどの新しい部門が次々と創設され、今では総合的なクリエーティビティを評価する場へと変わっています。2011年、正式名称が「カンヌライオンズ 国際クリエーティビティ・フェスティバル」となったのは象徴的ですね。

嶋:PR部門も、2009年に設立された当初は広告会社のエントリーがほとんどでした。広告キャンペーンのパブリシティの数を競うような内容のエントリーが多かったのですが、事務局が審査委員に世界のPR業界のトップを招聘し、PR会社の参加も促進して、名実ともに世界のPR会社が腕を競う場になりました。2014年のグランプリは世界最大手のPRエージェンシー、エデルマンが獲得しています。

そのような中でヤングカンヌにも2014年にPR部門が設けられ、日本の2人がいきなりトップを獲った。もちろんこれはすごいことですが、一方で僕にしてみれば必然な流れだとも感じたんです。

広告とPRの領域が近い日本は、統合コミュニケーションに有利

——「必然」とは、どういうことでしょうか?

嶋:海外ではPR会社は独立して仕事を受注している一方、日本では広告会社の中にPRセクションがあったり、日ごろから広告会社とPR会社が協業したりする状況がある。実はこれはグローバルで見ると特殊な環境なんです。日本は広告とPRの領域が近いので、統合コミュニケーションの考え方が広がる今、広告的なセンスも身につけた日本のPRパーソンは世界で戦うのに有利です。日本のPR業務は実は世界の最先端だったりするんです。
 
近見:ある時期、広告会社が統合ソリューションを強く打ち出して、狭義の広告に留まらないコミュニケーションが探られました。その中にPRやデジタル、プロモーションといった機能がラインアップされ、PRは全体の戦略を受けて、自分たちの専門分野にもっぱらフォーカスしていました。
 
その過程においては、実務に追われる部分もありましたし、分業的だったのでPR視点で統合ソリューションを考えるまでには至っていなかったと思います。でも、見方を変えれば、その環境はPRの重要性が、クライアントの広報担当以外のかたがたに認識されるのに有効でした。今の嶋さんの話を聞いて、これを過渡期として、今後はPR人材が統合ソリューションの核になり、広告を機能のひとつとして考えていく展開になると感じましたね。

嶋:まさに、そうですね。今は、広告会社のクリエイティブ・ディレクターが統合キャンペーンを組み立てることが多いですが、僕は本来、PR業界の人が広告やデジタル、プロモーションなどをすべて見る立場になってしかるべきだと思っています。僕もそういう立場を目指してPR出身のクリエイティブ・ディレクターになったわけですがPRの専門性を極めた人が全体のキャンペーンを考えるのにいちばん適している、というのが持論なんです。

次ページ 「アンコントローラブルな世界に向き合うPRパーソン」へ続く