デジタル時代に変わったこと、変わらない本質を見極める
午後2時からのイベントに先立ち、マルケトと宣伝会議が共同で日本企業のCMOを招いてパネルディスカッションを開催した。パネラーとしてフィル・フェルナンデス氏(マルケト本社CEO)、ドン・シュルツ教授、福田康隆氏(マルケト代表取締役社長)が登壇し、「デジタル時代のマーケティングで変わったこと、変わらない本質」をテーマに1時間を超えるパネルディスカッションを行った。
ドン・シュルツ教授が提唱したIMCは、現代でもマーケターが目指す普遍的な概念だ。一方、テクノロジーの進化による環境変化の真っただ中にいるマーケティング担当者にとっては、何が変わらない本質で、何を変えるべきなのかが、判断しづらくなっている。パネルディスカッションは、3名のパネラーからこのテーマに対する考え方や提言を引き出すことを狙って企画された。
テクノロジーの進化によって実現できた
エンゲージメント・マーケティング
シュルツ教授は「マーケティングの変わらない本質とは『顧客志向の徹底』であり、究極的にはワン・トゥ・ワンの対応である。いかにこの基本に柔軟に対応していけるかが企業の競争力の源泉である。マスマーケティング全盛の時代は投下できる広告費の大小よって企業の優劣が決まっていたが、今では、誰もそんなことは思っていない。マーケターが取り組むべきは、顧客志向を徹底することであり、経営者にとって何よりも優先すべき課題である」との認識を示した。
続いて、フィル・フェルナンデスCEOからは「かつてはコンセプトでしかなかったIMCが、テクノロジーの進化によって、誰にでも実現できるようになった。かつては“伝える”ことがマーケティングだった。現在、消費者は日に3000を超える大量の広告メッセージを浴びており、みなさんのマーケティング活動は迷惑スパムでしかない」と現代のマーケターの置かれている環境について言及した。「お客様にメッセージを伝えるには、一人ひとりのお客様を個人として認識し、お客様がどこにいても、その嗜好や行動に合わせた適切なコンテンツを提供し、長期にわたり途切れることなく関係性をつくっていかなければならない。これからのマーケターの目指すべき方向であり、それがエンゲージメント・マーケティングの本質だ」とマーケターの進むべき方向性を指し示した。
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