信頼されている企業はデータ時代にも勝ち残る
平林 来年1月からマイナンバー制度が施行されます。今後は企業が個人情報をどう運用するかがますます問われてくるでしょう。
加藤 生活者は自分にとって信頼できるブランドにのみデータを預けます。つまり、信頼されるようなブランドはそれらのデータを活用し顧客理解が進み、ますます個人に合った対応が可能になり、さらにブランド価値が上がっていく。
一方、逆もまた然り。そんなスパイラルが続くことで、企業間の競争優位性に大きな差ができるでしょう。
平林 信頼関係を築けるかどうかは重要です。ソーシャルメディアでも、どのタイミングでどのような情報を出すか、ユーザーとの距離感には気を遣います。
広告から自社サイトに誘導して会員になってもらい、あとはSNSでそれぞれの属性のお客様としっかりとコミュニケーションをとっていく。今はそのスキルセットをつくろうとしています。
広告の打ち方やオムニチャネルと関連付ける方法など、ターゲットごとの施策を網羅したいですね。
加藤 企業ではスキルを身につけた人がジョブローテーションで異なる部署に異動になり、新しい担当者はデジタルスキルをゼロからつけねばならないケースもあります。そこに対して何か対応されていますか。
平林 スキルの蓄積は本当に難しい問題です。右脳の感性と左脳のロジックを持った人材が理想なのですが、そのようなスーパーな人はなかなかいないですよね。クリエイティブやITベンダーなど外部とのネットワークを活用して、場合によっては社内に入ってもらったり当社の人間を派遣したりという関係性もあると考えられます。
加藤 いまやデジタルは経営戦略や事業戦略と一体化しています。つまり、我々もこれまで以上にクライアントの事業や業務を理解した上でデジタルを語らねば、本当の意味でビジネスに貢献することは難しくなってきています。
そのため、客先に常駐または半常駐する「オンサイト型」で一緒に同じ時間を過ごし、会議に参加させてもらい、同じ言語で語れるようになることを意識しています。それができて初めて我々の持つデジタル領域のノウハウが活かせると考えています。
平林 ツールを導入すれば競争に勝てるわけではありません。それをどう回していくかで競争力に差が出ます。デジタルマーケティングを社内で運用する場合、経営・事業戦略、コミュニケーション戦略・ITなど、いくつもの切り口や課題があり複雑化しています。
企業の健全な成長のためにそれぞれに対して答えを出すには、複数の外部パートナーが参加してチームを組んでやっていくことも必要だと思います。
加藤 そのメリットは、お手伝いする立場の我々もよくわかっています。最近ではそれぞれに強みを持つパートナーを集め「ベスト・イン・クラス」の発想でプロジェクトを組む企業も増えました。今後はそういうスタイルが主流になっていく可能性が高いのではないでしょうか。
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