「自分らしく働く」って、どういうこと?(下)

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自分と社会をつなぐことで見える、最適な環境(=会社)

吉田:「やりたいことがわからない」という人がいる一方で、「やりたいことはあるけど、役に立つ(お金になる)かわからない」と思い悩んでいる人もいると思うんですよ。

佐藤:そればっかりは、試してみないとわからないですよね。僕も本当はミュージシャンになりたかったけど早々に諦めて、なんとなくコピーライターになりたかったけれど、書くのが苦しすぎると嫌だから宣伝会議の講座に参加してみたんです。もちろん書くのは大変だったけれどなんとか続けられて、優秀賞も何度かもらえたので、これはできそうだと思ったんです。

吉田:遠くから見ているだけで行動しないのがいちばんもったいなくて、やってみてダメだったり、調べることがつらかったら引き返せばいいんですよね。

佐藤:辛いということも、やってみないとわからない。だから、個人的プロトタイピングをやるといいんです。それも自分の好きな詩を書くとかではなく、講座の課題などを通じてビジネスになりそうなことをやってみるとかね。

津田:僕も新しく始める活動やオフィシャルじゃない活動には、「実験」という言葉をよく使っています。ワクワクする言葉っていうのもありますけど。

佐藤:ウェブサイトも今はABテストをしながら改善していくことが多いじゃないですか。

津田:社会人1年目なんて、ベータローンチの最たるものですよね(笑)。

吉田:そうなんです。だから、先ほどの「やりたいシゴト」も一度決めたら十字架のように背負わなきゃいけないイメージを持つかもしれませんが、途中で変えたっていいんですよ。佐藤さんも当時は教授になるという選択肢はなかったけれど、社会に出ていろんな経験をされる過程で変わっていったんですよね。

佐藤:そうです。50歳を過ぎてから、世の中でやってきたことを学生に伝えることは役に立つことだと思ったんです。これからどんどん世の中が変わって、終身雇用も減っていくかもしれない。ここにいる3人も全員が転職経験者ですし。就職する企業は3年、5年をスタートする場として考えたっていいんです。そこで働いてみて自分に合っていれば働き続ければいい。

吉田:そうですね。「自分」と「社会(誰の役に立てるのか、立ちたいのか)」を考えた上で、その2つが成り立つ環境(業界や会社)を選びましょうと。業界や会社から考え始めると、そこに自分をねじ込もうとして、その企業に合わせたエントリーシートを書いてしまう。これを僕は「ES美人」なんて言っていますが(笑)。企業のウェブサイトを見て、いわゆる「求める人物像」を演じたところで、それは他の志望者と同じになってしまうし、仮に就職できたとしても働き始めてからミスマッチが起きますからね。

津田:そう、これは決して就活に限った話ではないですよね。自分らしい働き方というものは内定で答えが出るわけじゃなくて、探し続けて、探し続けて佐藤さんみたいに教授になる人もいるし、僕のように東京から離れた富士見町で仕事を作る場合もある。22歳当時の僕は渋谷に住みたかったですもん(笑)。

吉田:22歳で向こう40年の生き方が決まるわけではないし、ゴールは内定ではありません。それなのに、エントリーシートを書いているとそういうマインドになってしまう。そのくらい学生のみなさんが追い込まれる仕組みになっていることも問題ですよね。そんな状況だからこそ、自分自身を掘り下げて、考え尽くして、仕事に対する思いを極めてほしいんです。この本に書かれているプログラムは正直言って、手間も時間もかかるプロセスですが、その過程を経ることではじめて、自分らしく働ける場所を見つけ出すことができるのだと思います。

※本対談記事は「ウェブ電通報」でも掲載。



佐藤 達郎
多摩美術大学教授(広告論・マーケティング論・メディア論)/ 作家 / 研修講師 / クリエイティブ・ディレクター / コミュニケーション・コンサルタント

一橋大学社会学部卒業後、アサツーディ・ケイに入社。コピーライター、クリエイティブ・ディレクターを経て、クリエイティブ計画局長、クリエイティブ戦略 本部長。2009年に博報堂 DYに移籍し、エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを務め、2011年より現職。著書に『社畜もフリーもイヤな僕たちが目指す第三の働き方』(あさ出版)、『リーダーシップのなかった僕がチームで結果を出すためにした44のこと』(実務教育出版)、『自分を広告する技術』(講談社+α新書)、『~本番でアタマが真っ白にならないための~人前であがらない37の話し方』(ダイヤモンド社)がある。


津田 賀央
ソニー株式会社 UX商品戦略 セールス&マーケティング部門 ビジネス戦略部 クラウド企画&運営課

2001年、武蔵工業大学環境情報学部を卒業後、広告代理店の東急エージェンシーに勤務。ウェブ/ソーシャルメディア領域を中心とした広告コミュニケーションのプランニングから、新しいテクノロジーやメディア、サービスの開発を行う。2011年末、ソニー入社。ソニーのクラウドプラットフォーム戦略の中で、各種ハードウエア商品をまたいだクラウドサービスや仕組みを企画・設計。個人のプロジェクトとして、長野県諏訪郡富士見町と共同で、同町の空き家を使ったテレワーク(遠隔で仕事をする)を推進するプロジェクト、「富士見町テレワークタウン計画」を実行中。自身も富士見町へ移住し、東京の仕事をテレワークで行いながら、自然共生型ワークスタイルの実践や、地域のコミュニティーデザインに従事する予定。


吉田 将英
株式会社電通 マーケティングソリューション局

戦略プランナー。2008年慶應義塾大学卒業後、前職を経て2011年電通入社。 戦略プランナー・営業を経て、現在は若者インサイト研究とそれに基づく顧客体験価値設計を担当。10〜20代の若者を対象にしたプロジェクト「若者研究部(電通ワカモン)」代表を兼務。 2009年JAAA広告論文・新人部門入賞、第4回販促会議賞協賛企業賞、他受賞。


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