親しみやすさと品格を融合 九州デザインの底力に迫る—①八頭司伝吉本舗「小城の昔 ひとくち」

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第3号(2015年5月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

地域に根差す企業とクリエイターがパートナーとなり、新しい価値を生み出した事例を、手掛けたクリエイターが自ら解説。今回は九州地方、佐賀と長崎の事例です。

可愛く分かりやすく正直なものづくりを正直な表現で伝える

羊羹が1個ずつ飴玉のようにセロハンで巻いてある商品の特徴を、イラストで表現した。

“羊羹(ようかん)の里” とも言われる佐賀県小城市。八頭司伝吉本舗は、そこで大正10年から羊羹をつくり続けている老舗です。本店及び工場兼店舗を含め、県内に5店舗を構える同社。確かなものづくりはもちろんのこと、数十年前にCI を導入し、ブランディングに力を入れてきた企業でもあります。

主力商品である「昔ようかん」は、表面に砂糖の結晶ができる昔ながらの羊羹で、創業当時から変わらぬ独自の製法でつくられています。この「昔ようかん」を、もっと手軽に食べていただけないだろうかという発想から生まれた商品が「小城の昔 ひとくち」。私が手掛けたのは、そのサービス箱のデザインです。

時代に合わせた等身大のデザイン

時代とともに、過剰な包装よりも簡易的な包装が好まれるようになっています。その志向の変化に対応する箱をという依頼を受けました。さらに、1個ずつ飴玉のようにセロハンで巻いてあるという商品の特徴をビジュアルで表現してほしいとの要望もありました。手軽さを訴求しながらも、品のあるデザインを求められましたので、「品のある、可愛さ、手軽さ、親しみやすさ」を表現しようと試みました。

まず、「ひとくち」を可愛く分かりやすく伝えるため、「昔」という既存の筆文字ロゴに「ひとくち」をイメージさせる口のような曲線を組み合わせて、商品ロゴを作成しました。そのロゴのイメージに合わせ、親しみやすさを意識した手描きの商品イラストを作成し、落ち着きのある薄いグレーの背景に散りばめました。店頭で他の商品と並べられたときの調和も考慮しています。ふたを開けると、内側にも手描きの商品イラストが配されています。

「売れる」のその先までお手伝い

デザイン作業に入る前に、まずは現場を知ることから始めますので、店舗や工場の見学はもちろんのこと、食品であれば当然いただいた上で現状を把握します。そこから問題点を見つめ、解決策を考えます。企業であれ、商品であれ、自分たちが納得できるものであれば、お仕事をお引き受けするようにしています。“ 正直なもの” を“ 正直に伝える” ことを心掛けているんです。

正直なものづくりをしている方々は、儲けることだけを考えていません。おいしいお菓子を届けたい、そのお菓子をきっかけに、地元を訪れてほしい…そういう思いを持った地域の方々をお手伝いできることがうれしい。これは、地域でクリエイションに取り組むことの醍醐味だと思います。一つひとつの仕事を丁寧に行うことで、地域全体の魅力につながればと思いますし、デザインによって地域が幸せになると信じて活動しています。

古賀 義孝(こが・よしたか)
クリエイター
光画デザイン アートディレクター、グラフィックデザイナー。佐賀県立有田工業高等学校デザイン科卒業。鈴木八朗氏に師事。2009年に独立。東京ADC年鑑(入選2回)、国東半島宇佐地域世界農業遺産シンボルマークコンペ最優秀賞、d design travel 佐賀号にグラフィックオブ佐賀として掲載、日本文教出版「高校美術2」教科書掲載(やさしいハンカチ展作品)など。


CLIENT VOICE:お客さまの「おいしい」をいただくためのクリエイティブ

こだわりの味、演出装飾のパッケージ、そして販売の声。この3つで思いを伝えることが、お客さまからの信頼を高め、「おいしい」の言葉をいただける特別なブランドになっていくことだと考えます。

美しいだけでなく、その装飾に込められた意味・思いが強いと、それを見た人はいろいろな想像を膨らませます。その想像を私たちの思いで現実にしていただくために、クリエイティブは大切で、重要です。

八頭司 勲(やとうじ・いさお)
八頭司伝吉本舗 専務取締役

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