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規模・テーマ共に拡大を見せた2年目の「ライオンズヘルス」ーー博報堂 藤本真理子 カンヌレポート

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審査員コメント

設立して間もないライオンズヘルス部門。審査員のお二方に、グランプリの作品を中心にお話を伺いました。

atHealth日本人審査員

審査員長と共に。坂本さんHealth & Wellness部門  電通コミュニケーションデザイナー 坂本陽児氏(中)、博報堂ダイバーシティーデザイン所長 井上滋樹氏(左)。

Health & Wellness部門 電通iPR局 コミュニケーションデザイナー 坂本陽児氏

審査は全員で激論をかわしながら方向性を決めていくという白熱した雰囲気のもと、メディカル系エージェンシーを含む、様々なバックグラウンドを持つ15人の審査員たちにより行われました。

最終的にグランプリを決める際に、候補となった作品は以下の3作品。最終的に2年目のカテゴリーとして来年以降にどんなレガシーを残すのかが焦点となり、結果、言葉そのものを作り出すことで、その時・その場かぎりのキャンペーンではなく、何世代にもわたり語り継がれるソリューションを生み出したIntimate Wordsがグランプリに決定しました。

Health & Wellness部門グランプリ
PROCTER & GAMBLE/ALWAYS「INTIMATE WORDS」(LEO BURNETT MEXICO)

生理用品ブランドのオールウェイズが、カトリックの影響が強いメキシコの村で行ったキャンペーン。女性がデリケートな部分について語ることが文化的に難しく、それが子宮頸癌の早期発見の妨げになっていたことに対し、村の女性たちが話しやすい言葉=Intimate wordsを開発することで早期発見をサポートした。

Health & Wellness部門ゴールド
SAMSUNG TUNISIA「THE BACK UP MEMORY」(3SG-BBDO ARIANA)

memory

SAMSUNGが開発した初期のアルツハイマー患者向けアプリケーション。家族や友人が、過去から今に至る思い出を患者のアプリに入れておくと、近づいた時に患者のスマホが反応。その人との過去の写真(記憶)が表示されて患者の記憶をバックアップしてくれるというアイデア。

同 ゴールド
GEOMETRY GLOBAL Dubai/LUCKY IRON FISH「THE LUCKY IRON PROJECT」(MEMAC OGILVY Dubai)

鉄分不足による体調不良に悩まされていたカンボジアの人々に対し、鍋や釜を使った調理の際、入れるよう推奨されていた味気ない四角形の鉄の板。誰も使いたがらないその板を、現地で幸運のシンボルとされている魚の形にすることで、人々に使わせることに成功した。

Pharma部門 博報堂ダイバーシティーデザイン所長 井上滋樹氏コメント

カンヌにヘルス領域専門の部門ができたというのは、世界の広告業界に大きなインパクトを与えたのではないかと思っています。今年は、ファーマ部門とウェルネス部門を合計すると1800件以上の応募があり、かなりレベルの高い作品が多く見受けられました。

その背景にあるのは、世界的に進む健康への意識の高まりと高齢化。高齢者にとって、医療は、日々の生活を支えるのに必要不可欠なものだからです。

しかし、審査を進めていくうちに、背景にあるのはそれだけでないことに気づきました。その恩恵を被るのは彼らだけではなく、途上国の貧困層までふくめて、健康や医療に関わる情報は、人類にとって最も大切な情報ということです。

ただ、その一方で、医療業界や医師からの情報は、専門用語も多くの生活者には理解しにくいものが多いです。

この分野のコミュニケーションは、人の命に関わる重要な情報を、生活者にわかりやすく伝える使命を持っていて、そこを可能にするのがクリエイティブで、そこに世界の広告の新しい未来の役割があるのではと審査を通じて感じました。

Pharma部門グランプリ
ASTRAZENECA/DIESEASE EDUCATION「TAKE IT FROM A FISH」(DIGITASLBI NEW YORK)

アストラゼネカは、イギリスのロンドンに本社を置く製薬企業。 今まで類のないデジタルとソーシャルアウェアネスキャンペーン。エンターテインメント性がありつつシェアされるような示唆に富むアイデアで、リグリセルド(血清脂質)に対する教育を行った。

2匹の冗談を言い合うバスSal & Martyの冗談話を通じて、運動することやダイエットのメリットを伝達。50代以上の男性がターゲットであったが、話題をつくりあげることにより家族への理解促進も計った。

GRAND PRIX for GOODS
SPORT ENGLAND「THIS GIRL CAN」(FCB INFERNO LONDON )

atgirl can

例えばスリムになる等、なんらかの結果を残さなくてはいけないというプレッシャーからスポーツを始められずにいる普通の女性たちに対して、結果ではなく、健康であろうと思い、行動する態度自体が美しいのだということを、普通の女性たちを起用したクールな広告を中心に啓蒙したキャペーン。

次ページ 「ステージレポート」に続く

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