企業内にも必要なCTOとCCO
――CCOやCTOとは、どんな役割を果たすのでしょうか。
大野(CCO):自分でデザインをすることもありますが、CCOはいわゆるアートディレクター的な役割。ブランドの方向性をデザインの観点からつくり上げていく仕事です。
森田(CTO):私はプログラマー出身なので自分でプログラムを書くこともできますが、基本はテクノロジーの監修が仕事です。ざっくりと「こんなことができないか?」という相談を受け、それを実現するプロセスを考え、実現するまでが仕事です。
――2人ともディレクションをするだけでなく、自分自身で制作できる点が強みなんでしょうね。
森田:自分で手を動かさないと見えてこないこともあります。特にデジタルの領域は手軽につくって試してみることが可能で、それこそがブランディングにテクノロジーを取り入れるべき理由。この利点を生かすために、ディレクターに専念しすぎないことは大事ですね。
――企業が新しいブランドを立ち上げたい、ブランドをリニューアルしたいという時、ややもすると見た目のカッコよさで鮮度を高めようとする施策に走りがちです。
大野:その企業自体の人格を理解し、その人格を踏まえたブランドのデザインが必要になります。有名クリエイターにカッコいいデザインをつくってもらっても、それがその後、自分たちで運用できなければ意味がありません。自分たちにとってあるべきブランドの姿を描き、形づくるには社内にデザイナーがいたほうがよいと思います。
一方で社内にいるからこそ、自分たちの魅力が見えていないケースもあります。どうやって客観的な立ち位置のバランスを保つかが重要ですね。
森田:大野も私も専門職ではありますが、実はデザインやテクノロジーからはちょっと距離を置いているというか。特にデジタルの領域は「こんなこともしたい」「あんなこともしたい」と過度な期待を寄せられがちです。しかし、本当にそのブランドにとってやるべきことなのか。つまりは、それが売上げにつながるのか、というビジネスの観点から取捨選択ができなければなりません。
――専門職であってもその分野だけを突き詰めればいいわけではなく、まずはビジネスに対する理解が必要ということですね。
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