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1枚のはがきで人と人をつなぐ企業 創業10年でリブランディングを実施—グリーティングワークス

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第4号(2015年8月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

成熟化したと言われる環境下でも、新たな顧客を創造し、市場を創る経営トップがいます。そして、そこには瞬間的に売れるだけでなく、売れ続けるための全社を挙げた取り組み、さらには仕組み化があります。商品戦略、価格戦略、流通・販路戦略、プロモーション戦略に着目し、売れるためのアイデア、仕組みを解説・紹介していきます。

德丸 博之(とくまる・ひろゆき)
グリーティングワークス 代表取締役社長

1992年関西大学卒業。三和銀行(現三菱東京UFJ)に入行。主に融資業務・営業開拓を経験。2000年退職、起業にあたり、まず不況の家業を再建し、2003年に会社設立。インターネットに活路を見い出し、転勤や退職・年賀状など挨拶状を注文できる「挨拶状ドットコム」を立ち上げる。

次なる成長に向けリブランディング

年賀状や暑中見舞い・残暑見舞いなど、季節の節目に送るハガキ。就職・転職、結婚・出産、転居といった人生の節目に送る挨拶状。身近な人に改めて日頃の感謝を伝えたり、普段あまり連絡をとらない人、疎遠になってしまった人に思いを届けたり…。そんな挨拶状やはがきを、インターネットで簡単に作成できるポータルサイト「挨拶状ドットコム」を運営するのが、大阪に本社を置くグリーティングワークスだ。

挨拶状ドットコムには、200種類以上の文例が選べるビジネス挨拶状印刷の専門サイト「挨拶状ドットコム Professional」や、100名ものクリエイターによる2000種以上のデザインが選べるデザインはがき印刷の専門サイト「挨拶状ドットコム Designerʼs」のほか、年賀状・暑中見舞いはがき・結婚報告はがき・喪中はがきなど用途別のサイトがある。

2014年の注文数は計8万件以上にのぼり、今年度はさらに多い10万件の注文を目指している。

2004年のサービス開始以来、挨拶状業界屈指のECサイトへと成長を遂げ、2008・2012年には関西IT活用企業百撰「優秀賞」に選出、2012年には第16回日本オンラインショッピング大賞「奨励賞」を受賞、また「経済産業省 中小企業IT経営力大賞2013」で認定企業に登録されるなど、業界内外からの評価も高い。

成功の鍵は「挨拶状・はがき」への特化

グリーティングワークスの成り立ちをひもとくと、德丸博之社長の両親が1972年に創業した日にっ向こう印刷工芸社に原点がある。封筒や伝票などを印刷する下請け印刷事業者だった。德丸社長は、「もともと家業を継ぐつもりはなく、銀行員として社会人経験を積んだのちに起業したいと考えていました。ところが、日向印刷工芸社が廃業の危機に直面。まずは家業を安定させることが先決でした。とは言え、印刷業についての知識・経験は皆無でしたから、印刷以外の仕事、例えばWebサイト制作や販促支援、人材紹介など、あらゆる仕事を受けました。そこを入口に信頼を得て、最終的には利益率の高い、名刺や封筒などの印刷の仕事をいただく狙いがありました」と話す。そんな“何でも屋”的な事業の実態に合わせ、2003年に社名を「にっこう社」と改めた。

大きな転機となったのは、その翌年。現在の主力事業である「挨拶状・はがきの作成事業」に特化した経営体制へと、大きく舵を切った。悪化していた経営を何とか立て直し、過去最高の売上も達成したものの、ビジネスモデルの転換の必要性を強く感じたのだと德丸氏は話す。

「さまざまな事業に取り組む中で、何が世の中に必要とされているのか、何が利益につながるのかを取捨選択できるようになりました。“何でも屋”は、いま振り返ってみるとテストマーケティングになっていたのですね。ここで何か一つに事業を絞り込み、業務を仕組み化することで、会社として次のステージに進めるのではと考えました」。

挨拶状・はがき作成自体は、日向印刷工芸社時代の2000年にスタートしていた。「当時はネット注文ではなく、4つの文例から選んでFAXで申し込むスタイルでした。銀行員時代、転勤や退職の折にハガキで挨拶状を出す文化があったのですが、どこに注文していいかわからなかった。その経験に着想を得た事業でした」。この事業をさらに成長させるために、「挨拶状×インターネット」の発想で、2004年10月に挨拶状ドットコムを開設。翌11月には100万円、12月には200万円と売上は急速に伸長し、会社の成長スピードはぐっと加速していったという。

リブランディングに伴い、新たに制作されたブランドロゴや各種アイテム。戦国時代に葉の裏に文字を書いて情報のやり取りをしていたことが「葉書」の語源になったという説もあることから、ロゴは、想いを伝える形の象徴としてGREETING WORKSの「G」をモチーフにした「葉」をデザインした。

事業において同社が重視しているのは、①挨拶状・はがき作成にかかる手間を徹底的に省くこと、②挨拶状・はがきを送る楽しさや機会を提供すること、③グリーティングワークスが「100%messageで人々の人生に貢献する」という理念を持っている企業だと知ってもらうこと、の3つ。なかでも、手間を省き、利便性を向上させることには強いこだわりがある。

德丸社長は、「はがき印刷が上手くいったら、名刺や封筒も…とアイテム数を増やしていくのが普通なのかもしれませんが、自社を『印刷会社』と思ったことがなかった私には、そういう発想はありませんでした。しかし、たくさんの人に使ってもらえるサービスにしたいという思いはありましたから、追求すべきは利便性、徹底的に『出しやすく』するべきだと考えたのです。

選べるデザインの幅を広げるとともに、他の印刷会社が手を出さなかった宛名印刷にも対応。これが成長の鍵になっていると感じます」と話す。現在は、宛名リストはユーザー側で作成する必要があるが、今後は名刺や住所録を預かってリストを作成するサービスも視野に入れているという。

次なる成長のためのリブランディング

3月9日を「サンキューの日」と定め、感謝の気持ちをもっと気軽に伝え合える日になるよう活動する「アリガトウノハナPROJECT」を2010年にスタート。

にっこう社を設立して10年が経った2年前、德丸社長は、にっこう社のリブランディングに踏み切った。挨拶状・はがきという、当時としてはニッチだった市場に参入することで、やや高めの価格帯でも競争力を維持し、売上やシェアを順調に高めることができていたが、競合他社が相次いで参入したことで、市場は徐々に価格競争に陥りつつあったのだという。「マーケット自体が拡大しているので、売上が急に激減することはありませんが…

「続きは100万社第4号本誌をご覧ください」


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