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コラム

戦略PR視点で、大学・地方・アートを考える

5限目「先生!広報がうまくいっている大学と、うまくいっていない大学との違いはなんですか?」「大学のイメージ作りはどうやってやるんですか?」

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「社会性」という文脈と統合したストーリーを伝える

私もまだ着任から半年であるが、広報の仕事と平行して、学科での授業も行っている。ゼミ生たちもいる。着任前に頭で描いていたイメージとの違いも明確になりつつある。同時に現場の実態も少しずつ理解できてきた。まだまだすべてを掌握できたわけではないが、これから始めなくてはいけないことも、大きくはつかめてきている。

結論を申し上げると、大学の「売り」(USP)を単に可視化して伝える広報だけ、それでは「小さな広報」にしかならない。「社会性」というもっと太い「ストーリー(文脈)」と統合して「大きな物語」として伝えていく必要がある。

芸工大という東北地方随一の総合芸術大学で学ぶことは、単なる技法としての「アート&デザイン」というスキルを身に付けることだけに留まらない。社会全体をより良く改善し、世の中から「不便(ストレス)」をなくしていくための広義の「デザイン力(プロデュース力/構築力)」が、いま東北地方のみならず、全国の企業や諸団体など社会全体から必要とされている。このこととしっかり関連付けて伝えていかねばならない。

全国の各大学が発する独自のメッセージ(売り=USP)が、社会全体と、どのように関連(リンク)していけばいいのか。ちゃんと社会に対する人財輩出の役割を、今後も担っていけるのか。社会が向かっていく「大きな物語(ストーリー)」と大学が持つ独自の「物語」とは、しっかり調和しているのか。こうした社会全体と、大学の活動との広義での「アート&デザイン」が、今後の大学広報という活動にとって重要となる。そして広報戦略の成否の分かれ目にもなる。

次回は、さらになぜ、これから社会で活躍していく若い世代の人たちにとって、「芸術大学で学ぶ」ということが需要な「切り札」になりうるのかについて端的に記したい。

「先生!大学のイメージ作りはどうやってやるんですか?」「広報がうまくいっている大学と、うまくいっていない大学との違いはなんですか?」という質問から、ずいぶんと仰々しい話になってしまった。