能動的に見たくなるか?を一番に考えよう
佐々木:先ほども少し話しましたが「オンライン動画の定義」自体も、実は曖昧だと思うんです。NetflixやHuluのコンテンツだってオンラインで配信される動画ですし、YouTube動画だってそうですよね。
BOVAが対象にしているのは、広告主の公式サイト上に載っている動画や、YouTubeのプレロール広告のイメージだと思うんだけど、そうして既存の枠にはめてしまうのももったいない気がしていて。メディアの使い方ってもっと自由はなずだから。テレビCMだって当初は「番組のすき間に挟み込むもの」でしたが、次第にその枠を超えて発展しましたよね。
オンライン動画でも同様に、未知のメディアの使い方を掘っていくチャレンジャーに出会いたいと思っています。
編集部:審査員の谷川さんもオンライン動画ならではの面白さとして「動作環境の進化と共に、新しい表現を生み出しやすい。実験の場としての側面があり続けること」を挙げています。また、齋藤さんは「インタラクティブ」というキーワードを挙げていました。
川村:おっしゃるとおり、オンラインの面白さとしてインタラクティブであることはとても重要だと思います。ただ今回のBOVAの審査基準に、インタラクティブであることまで含めてしまうと、広くなりすぎてしまいそうですね。
佐々木:「これは動画じゃなくてゲームでは?」というようなものばかりでも審査しづらいですが、既存のCMや動画の形にとらわれないという発想も持っていてほしい。一律の審査基準には入らなくても、メディアの使い方で面白いアイデアを持っている動画やインタラクティブの仕組みが面白い応募作品があれば、しっかり評価したいですね。
川村:一般公募部門は、映像の面白さ、アイデアで特に勝負してほしいと思います。具体的には、さきほど木村さんがおっしゃったような「バイラル」「エンタメ」のあたりを軸に評価していくことになるでしょうね。
木村:一般公募部門だと「ユーティリティ」は難しいかもしれないですが、将棋の指し方とか、寿司の食べ方のマナーとか、そういうマニュアルっぽい動画でも、プロの技術で面白く見せることってできるはず。だから広告主部門では、そういう新しいチャレンジも評価していきたいですね。
一般公募部門なら、「バイラル」か「エンタメ」に絞ってアイデアを出すのがいいと僕も思います。それこそ前回、一般部門でグランプリを受賞した「tilt」のように、アイデアや技で勝負してほしい。
佐々木:昨年までの応募作品を見ていて、一般公募部門はゴールのイメージがはっきりしていない作品が多いように感じました。自由に制作していいのに、攻めていないというか。
川村:いっそのこと「ベストクラフト賞」「バズ賞」みたいな特別賞があればいいのかな?
これまで2回の一般公募部門の作品は、ほとんどが「商品のUSP(強み)を上手に表現しました賞」の範疇で、「バイラル」や「クラフト」視点のクリエイティビティに絞って意識したものが少なかったように感じます。
木村:広告だから、大前提として興味のない人に振り向いてもらうインパクトがなければならないんですよね。テレビなら受動的に見てくれる人がいるけど、オンライン動画はクリックしてもらうか、あるいはスキップされない工夫をしないと、最後までは見てもらえないから。
クリエイティビティの力で振り向かせることが必須なのに、そこを一足飛びにオリエンに応える動画に向かっているからかもしれません。
佐々木:オリエンの課題に真剣に取り組もうとするほど、画面の前で正座して見てもらえる前提で考えてしまうのかも。そこは気をつけないといけないですね。
澤本:「○○という企業や商品のファンになってもらうための動画」。どの企業の課題であれ、基本はそれだけでいいんだと思います。あとは自由に、各自がいちばんいいと思う方法で表現すればいいのであって。
川村:そうですよね。これは声を大にして強調しておきましょう。僕ら審査員は、とにかく「見てもらえる動画」「見た人がクライアント商品のファンになる動画」であることを最重視して評価をします! だから課題の文面にあまりとらわれすぎず、自由に発想してほしいですね。
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