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コラム

宣伝会議サミット2015 レポート

「お客さまに寄り添う」「企業の意思を示す」を両立させるマーケティングの実践

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講演者

  • トヨタマーケティングジャパン 取締役 土橋代幸 氏
  • 味の素 広告部 GEP(GROUP EXECUTIVE PROFESSIONAL)クリエイティブ統括部長 名久井貴詞 氏

「宣伝会議サミット2015」が11月19日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催され、マーケティング担当者の課題解決に役立つ最新事例や手法を紹介する講演が行われた。本コラムでは、注目企業のキーパーソンによって行われた講演の一部をレポートする。

市場環境が変化するなか、マーケティングの難しさとは

——現在、どのようなことがマーケティング上の課題になっていますか。

トヨタマーケティングジャパン 取締役 土橋代幸 氏

土橋:最大の課題は「クルマ離れ」です。当社はクルマメーカーである以上、この流れを何とか食い止めるべく、あらゆる取り組みを行っています。最近は、若者を対象とする調査でも、自動車が単なる移動する手段としての乗り物としか捉えられておらず、非常に厳しい状況です。特に、都会の若い人たちからはほとんど興味を持たれていません。

名久井:まず国内事情として、人口減少や高齢化、健康志向の高まりなどがあります。人口が減って高齢化が進めば、全体として食べ物の消費量も減ります。従来は3~4人前が一般的なファミリー形式だったものが、2人前のニーズも増えています。また、女性の社会進出が進むことで、料理に割ける時間も減少傾向にあり、そこに外食が増えれば、家庭での調味料の使用量は減ります。そういった状況から、これまで以上に調味料をはじめとするビジネスが厳しくなってきていると感じています。

——こうした課題を解決するためには、企業目線の一方的な発信ではなく、お客さま目線に立ったコミュニケーションが必要とされていると思います。どのような取り組みを行っていますか。

味の素 広告部 GEP クリエイティブ統括部長 名久井貴詞 氏

土橋:テレビCMをはじめ、「免許を取ろう」というキャンペーンを多面的に展開しています。クルマを買ってもらう以前に、まずそこからコミュニケーションを始めなければいけないのが、現在の自動車業界を取り巻く環境です。社内に対しても、若い社員に普段からクルマに乗る習慣を持つようにしてもらったり、週に1回は必ずクルマについて話す時間を設ける、富士スピードウェイを借り切ってジムカーナを行うなど、社内でも「クルマ好き活動」を積極的に行っています。若い人たちの関心のあるところから、少しずつクルマにも目を向けてもらいたいと考えています。

名久井:最近に発売した「おかずごはん」というシリーズがあります。「アジアンチキンライス」など、食卓のメインになるワンプレートのごはんメニューが、炊飯器で炊くだけで簡単に作れるというものです。料理に割く時間が少なくなる中で、従来のようないわゆる一汁三菜だけではない新しい食のスタイルを提案するための商品開発なども行っています。

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