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コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

広告をしたいから、広告をしないと決めた。

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[寄稿者一覧はこちら]

【前回のコラム】「実感のないコピーは、無責任だ。」はこちら

コラム第3回目です。
北陸・富山のコピーライター城川です。今回はお待ちかねの挫折タイム。新卒の就職活動体験記です。恥ずかしいことも、できるだけリアルに書きたいと思います。少し変わった例ですが、学生さんにとって反面教師となれば僕も報われます。

「おもしろくない」と言われた就職活動

コピーライター一直線の大学生活。もちろん志望業界は広告一本です。ただ、はじめは営業やマーケも経験してみたいと思っていたので、広告代理店の総合職狙いでした。自己PRはこんな感じに。

  • 中2でコピーライターを志望
  • 「メディア学科」や「広告研究会」で広告を勉強
  • コピーライター養成講座卒業生代表(100人クラスの上位3名)
  • 宣伝会議賞シルバー受賞

うんうん。いろいろマグレなのは置いといて、なにより広告への熱意は伝わるはず。絶対勝てる!はず…なのに、あれ、あれれ?やばい、まったく受からない。まわりが決まるなか取り残され、焦るばかり。

ちなみに当時の生活についてですが、広告会社の面接会場はほとんど東京です。関西に住んでいたので、週に数回、0泊3日の弾丸夜行バスで行き来していました。気付けばその生活も半年が過ぎ、真冬は真夏に。季節外れな厚手のリクルートスーツを抱えて、わずかな希望を胸にバスに乗り続けました。それでも結果は出ず、貯金もなくなり、身も心もズタボロ。もうすべてアホらしくなりました。夢を追って広告ばかりやってきたのに、こうなるなら夢なんてもたなきゃよかった!もっと遊んどきゃよかった!お恥ずかしながら、思い返して涙が出るくらい当時はつらかったです。

そんなとき、追い打ちをかけるように面接官に言われました。

「きみ、広告ばっかりでおもしろくないんだよね。」

あー。腹が立つより納得してしまいました。ここからはあくまで自分なりの分析や想像です。そもそも先の自己PRってウザいんですよね。PRと自慢は紙一重です。広告のプロである相手に、知ったかぶりの学生が「広告自慢」をしているのですから、それはそれはウザいと思います。調子に乗ってるし、プライドも高そうだし、部下にしたら使いにくそうです。

新卒総合職はポテンシャル採用ですから、専門的な知識や経験は入ってから積めばいいのです。それよりも、さまざまな経歴で、社風にきちんと合う人を集めて育て上げた方が、特に広告会社にとってはメリットが大きいのかもしれません。

ただ、誤解されたくないのは、講座の受講や受賞は、広告への熱意としては高く評価してくれます。それらを経て広告業界に進んだ方もたくさん知っています。大切なのは、その使い方です。僕の最大の失敗は、成果に頼りすぎて「ポテンシャル」を示せなかったことではないかと思っています。

広告やーめた。

広告会社の手札もなくなり、なんとなく受けた小売業の家具屋では、広告の経験をおもしろがってもらえて、とんとん拍子で内定が出ました。ちがう土俵で広告の話をすれば、それはPRとして機能したようです。それに小売に広告は不可欠ですが、ここまでの広告志望は珍しいですから、会社側の需要にも合ったのでしょう。広告の基本と同じで、就活もターゲット(=業界、会社、面接官など)を見極めて、相手がなにを求めているのか、相手ならどう思うかをきちんと突き詰めないといけないのだと思います。僕はそこで自滅しました。

全国勤務家具屋の配属先は、石川県金沢市。北陸に帰ってきてしまいました。人生一感動した石川の寿司グラビアをどうぞ。

正直、小売には興味がありませんでした。でも、これまでせっかく広告を勉強してきたのなら、いまはちがう経験を積んだ方がおもしろくなれるはず。しかも店頭に立つことは消費の現場を目撃すること。これは他の広告マンはしていない、だけどとても大事なことのはずです。それを経験して、少しはおもしろくなってから、コピーライターになって這い上がってやる。そう決意して小売へと進みました。

広告をしたいから、今は広告をしないと決めました。

次回、最終回です。前回のコラムで北陸が立ってないというご指摘があったので、今回は北陸感を出してみました。それでは。

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城川 雄大(しろかわ・ゆうだい)
アイアンオー株式会社 コピーライター

1990年生まれ。富山県富山市出身、在住。同志社大学社会学部メディア学科卒業。インテリア小売業を経て、2015年7月より現職。宣伝会議コピーライター養成講座大阪教室2011年春コース修了。第49回宣伝会議賞シルバー、第52回宣伝会議賞眞木準賞、北日本新聞広告賞特別賞など受賞。

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