ショールームを外へ持ち出し、体験の場を拡大
藤原氏は、ポルシェの購買層が多く集まるような場所へショールームを出店してはという提案を行った。また、ポルシェの「かっこいい」というイメージをさらに高めるために、ふさわしい場所での実車展示も合わせてすすめた。
山崎氏は、実はショールーム以外への実車展示は予定しており「やはり、見て、触れてという体験をモーターショーのような限定された場だけではなく、生活の場に出ていきたいという思いはある」と話した。
末吉氏からは、ポルシェを購入することを考えたときに、イメージとして「スポーティ」、「スピード」といった面が強く、女性やファミリーからの理解を得ることに課題があると指摘があった。こうした女性の視点を意識したコミュニケーションは強化中で、女性誌への広告やイベントにパートナーとして来場する女性向けの取り組みを行っていると話した。
あらためてマーケティングの可能性に気づく研究会での議論
山崎氏は研究会での議論を通して、各社がそれぞれコミュニケーション戦略を試行錯誤していることを感じ、そのうえで顧客を引きつけるマーケティングの力を再確認し「もっといろいろなことができる」とその重要性を口にした。
藤原氏はポルシェのオーナーが自主的に組織化し、そこから新たな顧客を生み出していることを「理想」と表現。また、「フルグラがポルシェのようなロイヤル化をすることができれば、自分たちの業界ではイノベーションになる」と話した。
今回の研究会参加企業は扱う商材も大きく異なる3社となったが、末吉氏は「顧客の囲い込みの方法は共通しているものがあるのではないか」と話した。その上で、不動産業界も含め、ターゲットを広く設定した最大公約数を狙ったマーケティング施策から、ニッチを意識したきめの細かい施策へ転換する必要があるとまとめた。
加藤氏は今回の研究会が「ブルーオーシャン、レッドオーシャンという概念が最も多く話題に上がった」と指摘。あらゆる業界の多くの市場がレッドオーシャン化していくなかでは、フルグラのように視点をズラして売れる環境を生み出してブルーオーシャンを見つけた方法論がヒントになったと話した。
イノベーションを起こすことは、ブルーオーシャンを見つけることにもつながる。そのためのマーケティングを模索していくことで見えてくる新しいカスタマージャーニーもあるのではないかと話し、10回目の研究会を締めくくった。
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