コラム

「広告」から「クリエイティビティ」へ【ACCプレミアムトーク】

日テレ・土屋敏男×TBS・角田陽一郎に聞いてみた「テレビは、オワコンなのか?」

share

【前回のコラム】「はあちゅうに聞いてみた「電通からITベンチャーに転職して、一番ビックリしたことはなんですか?」」はこちら

気鋭のクリエイターやメディア業界の人たちは、今とこれからの広告やメディアについてどう考えているの? ACCならではの視点で、これからの広告のカタチについてお聞きしていくシリーズ企画「ACCプレミアムトーク」。今回は、テレビ局の中の人を代表して二人の名物プロデューサー、日本テレビの土屋敏男さんと、TBS角田陽一郎さんのお二人に、テレビコンテンツの未来について、お話を伺ってきました。

(聞き手・文:博報堂ケトル 原利彦)

左)土屋敏男 氏、右)角田陽一郎 氏

土屋さん、角田さん、本日はよろしくお願いします!

さて、最近というかここしばらくずっと、雑誌やネットでは「テレビが死んだ」とか「テレビ業界オワタ」みたいな記事が、頻繁に出ていますよね。大体どれも、‟テレビ業界”と一口にまとめがちなんですが、正確には、3つのレイヤーに分かれると思うんです。

まず、ハード(受像機)としてのテレビがどうなるか問題、そして、次がテレビ番組というコンテンツがどうなっていくのか問題、そして最後に、テレビ局というビジネスモデルが今後も成立するのかという問題。それで、この3つは、それぞれを分けて考えたほうがいい、と思っています。

そこで今回、土屋さん、角田さんには、これまで数々の記憶に残る番組を手掛けてきた番組プロデューサーとして、主に“テレビ番組のコンテンツ”に絞ったお話をうかがわせてください。

そもそも、テレビ番組の制作現場の人たちって、今、リアルに危機感は抱いているのでしょうか?

土屋:それはもう、バリバリ感じていますよ。

角田:毎日、ほぼテレビについての明るい話が聞こえてこないですもんね。

土屋:例えばフジテレビ。

社長は各局のなかで一番若く、いろんなトライも過去やってきて、戦う準備はそろっているかのように見える。しかし、番組を作っても、ゴールデンタイムの視聴率でテレビ東京に抜かれ、直近の業績では赤字、と。これ多分、その理由が何なのか、フジテレビの人も、他の局の人ですらも、よくわかってないと思うんですよ。

——もう何が悪いのか、どこから手をつければいいのかわからないまま、業界全体にぼんやり不安感が漂っている状態なんでしょうか。

土屋:そう。それに加えていろんなメディアや人達が、やたら「テレビはオワコンだ」とか、「テレビはもう駄目」とか、そういう記事ばかりを書きたてちゃうから、もうみんな身を固くして、どうしたらいいのわからない…って感じなんじゃないでしょうかね。

角田:僕、テレビ局の制作現場の人って、たまに「老舗の和菓子屋」みたいに感じる時があるんですよ。はるか昔から、駅近の超良い立地に建っていて、本当に美味しいお菓子だけを丁寧に作り続けている老舗のイメージ。

作っている人たちからすると、昔ながらの手法で美味しいものを真摯に作り続けているから売れているんだ、と思うんだけど、本当は、人通りの多いいい場所に建っているから売れているだけだったりするんですよね。それが突然、人の流れが変わっちゃったら、急に売れなくなってしまって「なぜだ!?」と戸惑っているような状態。それが、テレビ局の現在なんじゃないでしょうかね。

土屋:基本的にはテレビ局の人って、すでに何百万人も客が入っている状態の劇場でモノを見せることしかやったことない人たちだから。お客の呼び込みとか、考えたことないんだもん(笑)。

角田:わかります。僕、最近、本を出して気づいたことがあるんですけど、テレビ番組を作っている人達って、ただ面白いものを作れば勝手に広がる、と無自覚に思っていて、それが実際、広がるんですよ。だから、ずっと面白原理主義でいられた訳です。ただ、それって要は6チャンネルあるうちの1つだからユーザーが見つけてくれていただけなんですよね。

ところが今回、本を書いて出版してみたら、自分としては中身に超自信あるんですけど、本屋に並ぶと数十万分の1になるわけですよ。ということは結局、どんなに超面白いものを作っても、読者に見つけてもらえないと読んでもらえないという当たり前のことに気付いて、今、一生懸命、自分の本のPRを頑張っているんですよね。

さっきの和菓子の話につながるんですけど、今、テレビ番組からなかなかヒットが生まれない理由って案外、そこの意識の違いにあるような気がします。

次ページ 「なるほど。これだけネットも含めて」へ続く

Follow Us