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ご当地キャラ2大イベントがまさかの同日開催 頭を悩ませた各地のキャラクターたち

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地元のファンとコアなファン、どっちを狙うべき?

ゆるキャラグランプリのエントリー内訳をみると、「企業・その他部門」のシェアが2013年は21.2%、14年は31.3%、15年は36.8%と年々増え、地方企業のプロモーションの場としての性格が強まりつつある。会場でも、豪華グッズと引き換えに投票を呼びかける企業ブースの前に地元ファミリーの行列ができていた。

「ゆるキャラグランプリ」ブランドの有効活用と運営資金確保の面ではうなずけるが、知名度の低い企業キャラが組織票で優勝・上位入賞する状況が続くと、ブランド自体の信憑性や正統性が弱まっていく。ご当地部門についても同様だ。今回は地元の「出世大名家康くん」が会場決選投票で来場者の4割以上におよぶ4万9302票を獲得して逆転優勝したが、優勝はあくまでも世間の注目を集める手段であって、ゴールではない。

運営側は、公募自治体と協賛企業へのメリットを打ち出しつつ、本来の目的である地域活性化につなげる起爆剤としての仕組みを強化していくことが今後のカギとなるだろう。そういった点で、子どもを守る活動をしたキャラを表彰する「ゆるキャラ for チルドレン」*2が新設されたことは興味深い。

*2 審査委員が複数の候補を選ぶノミネート方式で、埼玉県深谷市の「ふっかちゃん」がグランプリを獲得。

11月23日、「ゆるキャラ for チルドレン」でグランプリを獲得した「ふっかちゃん」(埼玉県深谷市)。

前回も感じたことだが、コアファンの「捉え方」「巻き込み方」は両イベントでスタンスの違いがあるようだ。浜松では、過去優勝キャラを立てつつ、地元ファミリーやライトファン向けにミュージシャンやアイドルと、その他キャラによるシンプルなステージとキッズ参加型パレードが用意された。結果発表や表彰式でも写真や動画の撮影者が少なく、総じてフラットかつシステマチックな印象を受けた。

対する羽生では、気心が知れたキャラ同士やMC・ゲストなどお馴染みメンバーによる阿吽の呼吸のステージやダンス、ゲリラライブを各所で展開。「ふなっしー」をはじめとするお目当てキャラの撮影はひっきりなし、衣装やアイテムを着用して一緒に場内を移動する常連のファンも多数見かけた。

さながら野外音楽フェスのご当地キャラ版で、コアファンにとってはたまらない、ホットでハンドメイド感のある魅力的な場となっていた。ただ、常連キャラやファン以外の視点で考えると、交通の便の悪さも含めて敷居が高く、身内や仲良しグループで小さく固まっている印象を与えがちな点は否めない。

両イベントが切磋琢磨することで長所を伸ばし、各キャラファンのコミュニティがつながって互いの地元に行くきっかけとなれば、草の根レベルで地域活性化に貢献していくだろう。ゆるキャラブームが落ち着いた今だからこそ、今後の動きに注目していきたい。

11月21日、「世界キャラクターさみっとin羽生2015」の開会式の様子。

世界キャラクターさみっとin羽生2015」芝生広場でのゆっふぃー(寺嶋由芙)&ゆるっふぃ〜ずのゲリラライブ。


野澤智行(のざわ・ともゆき)
アサツー ディ・ケイ ストラテジック・プランニング本部 キャラクター総研 リーダー

千葉大学文学部卒業後、ビデオリサーチ入社。1998年旭通信社(現アサツー ディ・ケイ)入社。現在はキャラクターの開発・活用提案からイベント・キャンペーンのプロデュース、効果測定・分析までを業務としている。大学や各種セミナーでの講演も多数。デジタルハリウッド大学大学院客員教授。