創業60周年 チャレンジャー精神を忘れないADKの新・創業――アサツー ディ・ケイ植野伸一社長

今年3月に創業60周年を迎えるアサツー ディ・ケイ(ADK)。このほど国内部門・海外部門ともに大幅な組織改編を行い、1月に新体制をスタートさせた。植野伸一社長にその狙いと年頭の抱負を聞く。

「全員経営」に込められた創業者の思い

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ADK 植野伸一社長

今年、ADKは創業60周年を迎えます。現在は社員約2000人、グループ全体では約3000人規模の企業になりましたが、歴史を紐解けば、60年前の3月19日、稲垣正夫が立ち上げた広告会社の社員はたった4人でした。

創業当初、広告業界では、先行する大手がすでに圧倒的な存在感を示していました。「大手と同じことをしていてもだめだ」。そう考えた稲垣は知恵を絞り、雑誌広告に申込ハガキをつけたり、婦人誌付録の家計簿に広告スペースを設けて買い切るなど、前例のないアイデアを次々に実現し業績を伸ばしました。

一方では、まだ少なかった子供向けテレビ番組として国産アニメの企画制作を開始。現在のコンテンツビジネスの先駆け的な存在となり、業務を拡大しました。また、幅広い人脈を生かしていちはやく中国へ進出し、世界的な広告グループとの資本業務提携を結ぶなど、海外展開も果敢かつ迅速でした。1987年には、旭通信社(当時)は東京証券取引所に上場しましたが、これも、広告業界では初めてのことでした。

数々の「業界初」を実現した創業者が掲げた理念は「全員経営」でした。今、あらためて振り返ってみると、これは、「みんな経営者のつもりでがんばろう」などという、生易しいものではなかったと私は思います。社員ひとりひとりが、独立した事業主と同じ自覚を持ち、しっかりと利益を生み出すビジネスを構築し、自らチャレンジして実現しなさいという、非常にハードルの高い要求だったのだと思います。

しかし創業者は同時に、「夢とロマンを持て」とも言い続けていました。ひとりひとりがチャレンジャーであり、夢を実現する起業家であること。それが創業者の理想であり、今もADKの根底にあるDNAなのだと思います。

シンガポールにグローバル戦略の司令塔

今年度、当社は大幅な組織改編を行います。「コンシューマー・アクティベーション・カンパニー」への変革を、いよいよ本格的に実現していくための組織改編です。

新しい体制においては、当社グループの成長・注力領域を5つのビジネスセクター(事業体)に分け、それぞれのセクターがグループ会社まで含めたバリューチェーンを構成して利益を生み出し、さらに、セクター同士が取引を行ってビジネスを拡大していきます。

変容する環境に対応し、新しい体制では、メディア・ビジネス部門とデジタルおよびデータインサイト部門をひとつのセクターに統合しました。ビッグデータの解析からインサイトを見出し、知恵とアイデアでメディアの価値をさらに高めていく。そして最適のプランで消費者を動かしていく、コンシューマー・アクティベーションの根幹とも言うべきセクターとなります。

グローバルでは、さらに思い切った改革を行います。「ADKグローバル」セクターのトップには、アメリカやアジアで活躍してきたロブ・シャーロックが就き、シンガポールを拠点に指揮をとります。

私たちが目指すのは、どの地域でも消費者のインサイトをつかんでクリエイティビティを発揮できる人材がいる「多国籍」ネットワーク。日本の広告主のニーズをきめ細かく汲み取りながら、各国で効果的なコミュニケーション活動を実現します。

ビジネス成果に直結するソリューションを提供

この改革は、単なる組織改編ではありません。当社が従来の広告代理店からコンシューマー・アクティベーション・カンパニーへと進化するための、非常に大きな意識改革でもあります。

すべてのADK社員・ADKグループ社員は、ひとりひとりが、消費者を動かすための付加価値を創出し、その成果に対して報酬をいただけるプロフェッショナルを目指します。

「中継ぎ」的なビジネスに留まらず、クライアントのビジネス成果に直結するソリューションを提供すること。ビジネスパートナーの皆様と協働してさらに大きな価値を創出すること。それが私たちプロフェッショナルの使命です。

難しいことではありません。私たちには、創業当時から受け継いできた精神があるからです。ひとりひとりが、チャレンジャーであり、新たなビジネスを構築できる起業家であるはずだからです。

創業者の精神を受け継ぎつつも、時代の先へいく大変革へ。これは「新・創業」とも言うべき大きな転換点です。60周年の節目に、私たちは決意をあらたにし、さらなる飛躍のステージへと前進していく所存です。

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