西川美和×谷山雅計×福里真一「コピーライターと映画監督が語る、アイデアを生む“脳の動かし方”」【後編】

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『ゆれる』『ディア・ドクター』などの話題作を連発し、現在は自らの直木賞候補作『永い言い訳』を撮影中(2016年公開予定)の映画監督の西川美和さん。その映画宣伝のコピーワークをコピーライターの谷山雅計さんが手伝っている縁で、この2人の対談が実現。司会進行を務めるのは、谷山さんとの仕事も多く、西川さんの映画のファンでもあるというワンスカイの福里真一さん。それぞれの分野のトップランナーが、考えるとはどういうことか? どういう脳の動かし方でアイデアが生まれてくるのか? それぞれの制作プロセスをたどりながら語り合った。その後編をお届けする。

西川さん→谷山さんに質問
「アイデアを考える時誰かに見せますか?自分1人で考えますか?」

福里:

次は、西川さんから。「まだプランを公にできない段階で、アイデアの選択に悩んだり客観的な判断がつかない時、誰かに見せたり相談したりしますか? すぐに人に意見を聞いてみる方ですか? ギリギリまで自分1人で悩まれますか? もし人に意見を仰ぐなら、それはどんな人ですか」。

谷山:

アマチュアの方には見せません。広告の仕事をしていない人というのは、その人ひとりの意見を話すわけですよね。それに比べて広告の本当のプロは何十万人、何百万人の人のものの考え方を背負っています。ですから、できればそういう人の意見を聞きたいわけです。

福里:

谷山さんは実際誰かに相談するんですか?

谷山:

決まった誰かには相談しないですね。僕の師匠は大貫卓也さんですが、大貫さんに見せたら根本から覆されるに決まっている(笑)。

西川:

福里さんは相談なさいますか?

福里:

積極的には相談しないですけど、とりあえず思いついたら皆さんに意見を聞きます。広告は世の中の人に受け入れられないといけないものなので、いろんな人の意見が少しずつ入っていく、そのユルさの方が広がりにつながると思って。僕の年齢だと、普通はCDを兼任しますが、僕はあまり兼任したくないタイプです。自分が企画もジャッジもしてしまうと個人の中に凝り固まりすぎるんじゃないかなと思って。

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