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コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

西川美和×谷山雅計×福里真一「コピーライターと映画監督が語る、アイデアを生む“脳の動かし方”」【後編】

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西川さん→谷山さんへ
「若い頃に身につけたことは何ですか?」

福里:続けて、西川さんから。「自分の中でのベストなアイデアとは別のものが選ばれた時、どのように対応されますか? それはすぐに受け入れられますか。あるいは発想の転換方法がありますか」

谷山:自分の中にあまりベストがなくて。クライアントが「この案がすごくいいね」と言ったら、そうかなと思っちゃう。結局のところ、他人に喜んでもらう仕事だから、他人がいいと言ってくれることを信じてやった方がいいんじゃないかと思うんです。受け入れるかどうかよりも、「あ、そうだったのか、教えていただいてありがとうございます」という感じになってしまいますね。

福里:もうひとつ。「コピーライターになった当初と今、作風として何がどう変わったと思われますか? 若いころにできたことと、今しかできないこと、身につけたこと、失ったことなど」。

谷山:20代の頃の思考量はすごかったなと思います。1日8時間は必ず寝ていましたが、毎日300本くらいコピーを書いていた。今は、このコトバが世の中に出る前と後で、世の中にどんな変化を起こせるかという計算はできるようになりました。今54歳ですが、いまだに思考量で勝負しています。僕はサッカーで“ファンタジスタ”といわれる、信じられないようなプレーをする人間ではないけれど、90分間ずっと走り回って足が止まらないタイプの選手だと思う。

福里:西川さんは若い時から変わってきたことって、何かありますか?

西川:作風は変わってきたなと思いますね。以前は、今きれいに見えているものの表面を引きはがして壊してみようという思考回路だったと思うんです。今は、壊れたものをもう一度つくっていくってどういうことなのかという方に、ちょっと向かい始めたのかもしれない。続けていくことや育んでいくことはすごく難しいと、自分が身に染みて考えているからかなと思います。

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