コラム

アンバサダー視点のススメ

ソーシャルメディアの浸透が、人の「繋がりたい」という気持ちを強めている

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アンバサダーはマーケティングの選択肢の一つ

佐藤:2月に、電通から2015年度の「日本の広告費」が発表されました。媒体別構成費では、地上波テレビが29.3%、インターネット広告費が18.8%、新聞が9.2%でした。つまりテレビCMとインターネット広告費で2強というわけです。

藤崎:新聞はインターネット広告費の半分なんですね。インターネットやソーシャルメディアの活用が増えているので、当然、アドボケイツも増えてきたのかも知れませんね。

企業がファンやアドボケイツの推奨力を活用したプロモーションを行うためには、彼らと積極的に関係を持つ必要があります。企業が自然発生的ではないクチコミを狙うためには、彼らに情報を提供し、知ってもらうことがファーストステップです。さらには、彼らと常に連絡を取れるような「アドボケイツの組織化」が重要で、そこで生まれた新しい顧客像が「アンバサダー」だと私たちは考えています。

佐藤:今までの広告業界は、いわゆる有名人がアンバサダーになるケースが一般的だった。彼らは自発的に推奨するわけではないので、そのイメージが強い人には藤崎さんの言うアンバサダーは新しい概念でしょうね。アンバサダーを組織化するメソッドを開発することは、企業側から見たときにプロモーションの選択肢が増えたことになりますね。

藤崎:はい、ファンの組織化は、既存顧客との関係づくりと言い換えることもできます。企業は今まで新規顧客をどう取り込むかには注力し、自社のファンとの関係づくりは手薄だったのではないでしょうか。

佐藤:マス広告の視点から見ると規模と効果に懐疑的になりがちですが、今後ファンとの連携やクチコミの重要性は確実に高まります。現実的な話としては、予算という観点もあるのではないでしょうか。最近はテレビCMに多額の費用をかけても、見ている人が少なかったり、偏っていたりすることもあります。そんな状況だからこそ、企業がターゲットにアプローチするための手法として、アンバサダーとの関係づくりが選択肢の一つに挙がると思います。

藤崎:ひとつ付け加えれば、マス広告からアンバサダーを活用したマーケティングに全てが移行するといった誤解は避けたいと思っています。アンバサダーとのコミュニケーションが企業の全ての課題を解決するわけではありません。

佐藤:そうですね、生活者が多様化しているからこそ、広告する側の選択肢の広がりも大事ということですよね。もちろん、マスメディアのパワーは今でも大きい。あくまで組み合わせが大事ということでしょうね。

藤崎:はい、そうだと思います。

佐藤:ハーレーダビッドソンの事例が有名ですが、今後は企業がファンを囲い込んだ「ブランドコミュニティ」がとても大事だと思います。企業が商品やブランドを介して人々と緩やかに繋がっているコミュニティというのは、今後の広告のあり方を考えたときに、外せないのではないでしょうか。

違う言い方をすれば、これからのブランディングには、そこに仲間がいるとか、コミュニティがあるというように感じられることが重要だということです。そのコミュニティが、藤崎さんの言うファンであり、アンバサダーであるならば、それらが存在しているブランドには、共感できる価値観や魅力があるということではないでしょうか。

藤崎:「そこに仲間がいるブランド」って、いいですね。わかる気がします。今日はためになるお話、ありがとうございました。


今回のポイント

  • バズる広告表現から、話題にしてくれる人へ
  • アンバサダーとの関係づくりはマーケティングの選択肢のひとつ
  • ブランディングにコミュニティが重要な時代が到来している

今回のまとめ

ソーシャルメディアの発展は、人がもともと持っていた、人とつながりたいという潜在的な欲求を上手に叶えてくれるものでした。ニーズとウオンツの関係はよくマーケティングで語られますが、だからここまで定着したのでしょう。企業がファンと上手に関係をつくる「ブランドコミュニティ」の話も納得です。確かにこれからは、お互いの関係を深める時代ですね。(アジャイルメディア・ネットワーク 藤崎実)

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