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コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

NHKスペシャル「NEXT WORLD」の取材から見えた、AIと表現の未来【後編】

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AIをどう使えば人間は幸せになれるのか?

小川 徹 氏

小川:ウェブサイトで行ったアンケートでは、一番肯定的に受け止められたのは「若返りの薬」で、自分も飲みたいと思う人がたくさんいました。一番否定的に受け止められたのは、「亡くなった人をコンピューター上でよみがえらせる」ことでした。

立花:「NEXT WORLD」を題材にした、ハーバード大学のサンデル教授と日米中の学生の議論(2015年6月放送「マイケル・サンデルの白熱教室 科学と幸福の話をしよう」)では、「結婚相手を決める時、完璧なAIの勧める相手と親の勧める相手のどちらを選ぶ?」という問いに、学生の半数がAIと答えました。親は考えが古くて思い込みが強いが、AIは公平に客観的にたくさんの候補者の中から自分にぴったり合う人を選ぶからという理由でした。

岡田 朋敏 氏

岡田:「NEXT WORLD」では、自分で結婚相手探しのマッチングのAIを開発して結婚した人の事例も紹介しました。彼は自分が開発したAIが選んだ女性はどの人も自分に合うと浮かれていたんだけど、何人も会ううちに、同じタイプの人としか会っていないことに気がついた。その人が最終的にゴールインした相手は、AIのレートは低いけど会ってみようと思った相手だったそうです。「AIは全てを決めないけど、AIの助けがなかったら彼女とは出会わなかった。だからAIはマストだ」という言い方をしていました。

澤本:彼の話は興味深いですよね。趣味嗜好が分かっている人とは絶対に話が合うんだ、というのはAIの話と関係なく自分にとっては発見で。ある人を「好き」だと思うというような、普段自分が何げなくやっていることをAIのフィルターを通してみると、自分はこういう理由でやっているんだなと分かりました。そう考えると、AIは敵というより、共存していけば自分の味方になるような気がします。

加賀谷:AIをどう使っていくと人間はハッピーになれるのか。将棋では人間の棋士とAIがペアになって対戦するようなことも始まっていますね。

岡田:AIは人間が考えつかない手を出してくるらしいんです。それを拒絶する人がいる一方で、そこから学べばいいじゃないかと考える人もいます。

小川:IBMのシェフ・ワトソンも人間が考えつかないようなレシピを作って料理界に衝撃を与えていますよね。

加賀谷:いろんな国の人が集まったときに宗教上の制限も考慮して皆で食べられるものを提案してもらったら、人間ではとても思いつかないレシピだったんですよね。

岡田:韓国風ギリシヤサラダとかね(笑)。実際食べましたが、比較的おいしかったです。食べたことはないけれど、新しいおいしさだねという。

加賀谷:課題解決はしているわけですね(笑)。

小川:あるAIを使ったビジネスでは、一人に一台パーソナルなAIを作ってより楽しい暮らしを提案しようとしています。ドラえもんが一緒にいるような感じでしょうか。

岡田:アメリカの大手銀行では、ソシオメトリックスバッジという電子版社員バッジを使っていて、社員がどこにいたか、誰と話をしたか全部記録し、それを元に働き方を改革しています。例えば、成績のいい営業の行動を分析して社員教育に使ったところ、非常に説得力もあり、やる気も高められたといいます。全部記録されるのは嫌だなと思いつつ、効率性という面では抜きん出ていると感じました。

次ページ 「コンテンツはAIでどう変わるのか?」へ続く