コラム

マーケティングを“別名保存”する

必要なのは、実は英語ではない――「グローバルな知性」を身につける4つの特効薬

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「インサイトフルな思考」を身に付けるには?

このインサイトフルな思考を育むには、結局様々な視点から物事をみる、立体的な視点を養うということが必要なのだと考えます。それには本来特別な教育システム・教育文化が必要で、専攻を決める前に複数年みっちりと幅広い分野の一般教養を学ぶリベラルアーツ教育はその一例です。

例えば、リベラルアーツ教育が盛んなアメリカでは、総合大学とは別にLAC(リベラル・アーツ・カレッジ)というものがあり、オバマ大統領もヒラリー・クリントン大統領候補もLAC出身です。それゆえそのような教育文化にあまり馴染みがない日本人には苦手な領域なのだと思いますが、筆者が見てきた外資系も猛者たち、「インサイトフルな日本人」の分析から、これを長じてから身につける特効薬がいくつかあると考えています。本稿ではそれを紹介したいと思います。

  1. 外国に住む(expat:駐在員として滞在する)

    これは一番てっとり早い方法です。日本で当たり前のことが、外国では当たり前ではない、またその逆、ということはご存知の通り多々あります。当たり前すぎてこれまで疑ったこともなかったけど、まさにここに別の視点がありうるのだ、と気づくことで、他の視点に意識が向き、目が開けることで、立体的な視点が養えます。イーロン・マスクはじめ著名な起業家には、移住経験者や幼少期を外国で過ごした人が多いことも知られています。

  2. 外国でトレーニングを受ける

    とはいえ、外国に住む機会はそうそうありません。それでも、外国で、例えばリーダーシップやコーチングなどのトレーニングに参加することは、難易度は低くないですが十分可能です。ここではワークショップなどで参加者同士がそれぞれの考え方を直接披瀝しあうので、意外な新しい視点や思い込みの発見がかなりあります。

    以前、外国で受けたリーダーシップのトレーニングで、「ステレオタイプ」の議論をしている際、これは出すまでもないかと思いながら「国籍のステレオタイプ」の話をしたら「それは新しい視点だね!」と賞賛されました。人種や民族が多様な国では、エスニックごとに文化が違うので、国をまとめた一つのステレオタイプ、という視点は希薄なことにその時気がつきました。

  3. 異なる業界に転職する

    この業界の当たり前が、この業界ではそうでないということも、やはりたくさんあります。だからこそ異業界への転職はそれなりに困難なわけですが、マーケティングや法務、人事、財務などの専門職は比較的モビリティーが高く、特に外資には業界を渡り歩いている人が何人もいます。そういう人の中にはとても立体的な視点を持ち、斬新な発想で業界を変えていく傑出した人がいます。ハイアールアジアの伊藤嘉明 元CEOなどが典型です。

  4. 専門外の勉強をする

    上記1〜3は、全てそうそう気軽にできるものでもありません。2が一番手軽でしょうが、会社がアレンジしてくれるのでなければ、個人で外国のトレーニングを探し、申し込み、休みを取って一人ででかけるのは、かなりの覚悟が必要です(実践した知人はいますが)。

    そこでおすすめなのがこちらです。マーケターの方であれば財務や法律、法務の方であれば財務であったり経済学であったり。現在の業務や大学の先攻とはまったく別の勉強をすることで、この分野では当たり前のことがこの分野ではそうでない、という学際的な視点、立体的な視点が養えます。

積極的にジョブローテーションに挑戦してみる、というのも手だと思いますし、上記以外にも視野を広げる自己開発はいろいろあると思います。冒頭に述べたとおり、日本型の知性と、インサイトを重視する多文化社会の知性どちらが良い・悪い、ということはないですが、グローバル化が進む昨今、インサイトフルな思考力を養うにこしたことはありません。

筆者もまったく偉そうなこがいえる身分ではなく、素晴らしい能力を持つ同僚たちを上記のように観察しながら日々精進していますが、まだまだ道は長いです。

画像提供:shutterstock

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