コミュニケーションの断絶。
実は、運転手さんが「何も言われないから要望に応えられているはず」と勘違いしてしまうのは、一概に運転手さんのコミュニケーションの問題というわけではないのです。
なぜなら最近、運転手から話しかけられることを嫌がる乗客が増えているらしく、特に接客に力を入れているタクシー会社ほど、運転手側からむやみに話し掛けないように指導されているケースが多いらしいのです(もちろんケースバイケースですが)。
ここで前回のコラムで紹介した乗客へのインタビューを振り返ってみましょう。
乗客:ほとんどの人は運転手に対して自分から話しかけない
運転手:乗客にむやみに話しかけないよう指導されている
その結果どうなったか。
物理的には1メートルも離れていない乗客と運転手の間で、コミュニケーションが断絶してしまっているんです。
乗客は思ったことを伝えることすらできず、運転手は乗客の気持ちを理解できない空間になってしまった。
さて、もう少し俯瞰して整理してみます。
- 三和交通さんの特長である「人に優しいタクシー」は現場の運転手にも根付いており、競合優位性としてアピールすべきポイント
- 多くの乗客は、過去の嫌な経験や業界に対するイメージの悪さから、タクシーに対して不信感を持っている
- ゆっくり走ってほしいと感じたことがある乗客は76%いるのに、運転手はほとんどの乗客が急いでいると思い込んでいる
- 運転手と乗客の会話はそれほど多くないし、お互い話しかけるきっかけが無い状態
そこで我々は考えました。
伝えやすくする「装置」をつくってみたらどうだろうかと。
…と、ようやく施策のアイデアまで辿り着きました。
次回は、私たちの考えた「ゆっくりボタン」というアイデアが本当に課題解決できるのかを、試行錯誤しながら検証していった過程をご紹介しようと思います。
それではまた。
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