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提供する価値は「コミュニケーション」から「サービス」へ

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事業やビジネス自体にデジタル変革が必要な時代

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アクセンチュア・インタラクティブの黒川順一郎氏、槇隆広氏、IMJの加藤圭介氏、久田祐通氏が登壇したパネルディスカッションでは、企業がいかにデジタルトランスフォーメーションを実現すべきか、議論が繰り広げられた。

午後に行われたパネルディスカッション「デジタルトランスフォーメーションを実現できる企業、できない企業の境界線-経営・組織・人材の視点で成功のポイントを考える」では、黒川氏、アクセンチュアの槇隆広氏、IMJの加藤圭介氏、久田祐通氏が登壇。

デジタルマーケティングの推進において、今までと同様の組織の枠組み、業務プロセスでは実現できなくなった昨今、人材の考え方、仕組みづくり、KPIの設計など、従来の価値基準とは大きく異なる新しい組織のあり方、モデルへの変革が必要になった。また、生活者にとって魅力ある価値体験を提供するには、それを提供できる企業に生まれ変わらなければならないことに言及。

「日々の業務の中で感じている、クライアントの課題として共通する点はあるか?」という問いかけに対し、黒川氏はコンサルティングの視点、加藤氏はデジタルエージェンシーの視点から「マス広告中心の狭義のマーケティングが主流だった日本企業も、真の意味での広義のマーケティングへトランスフォーメーションが必要になっている。また、マーケティングのトランスフォーメーション同様、事業やビジネスモデルの変革にもデジタル化は影響を及ぼしている」と指摘した。

アクセンチュアとIMJが協業することで、広告主の多様なニーズに応えられると話し、両社が手を組んだことによるメリットを紹介。事業領域や風土の違う企業の連携面でも違いによる生まれるポジティブな影響の方が多いと話した。

デジタルトランスフォーメーション 今、必要とされる最先端事例

スマートフォンの普及、ウェアラブルデバイスなど生活者が利用するデジタルデバイスが増加し、世界中でインターネットに接続するデバイスは、2017年には人口の約3倍になるとも言われている。こうした環境において、生活者を理解し、その一人ひとりに最適化された価値や体験を提供するために、企業はデジタルマーケティングを実現していかなければならない。

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日本コカ・コーラ マーケティング本部IMCiマーケティング統括部長の豊浦洋祐氏。

基調講演「新プラットフォーム『Coke ON』が拓く、日本コカ・コーラのデジタルマーケティング3.0戦略」では、日本コカ・コーラの豊浦洋祐氏が、2000年代初頭からIMC(Integrated Marketing Communication)を提唱し、グローバルでマーケティング戦略を進めてきた。製品を中心とする段階、生活者を中心にした段階を経て、現在は生活者に提供する価値を中心に据えた「マーケティング3.0」を進行中と、同社の取り組みを紹介した。

豊浦氏は、その中心として2016年4月にローンチしたスマートフォンアプリ「Coke ON」を紹介。対応する自動販売機「スマホ自販機®」と連動し、日本コカ・コーラと生活者の接点で価値を提供する狙い。同社は全国に約98万台ある自動販売機を一台でも多くスマホ自販機®にし、アプリのダウンロード数も拡大していくことで「Coke ON」をサービスプラットフォームとするCRM構想を描いている。

豊浦氏は「Coke ON」がプラットフォーム化していくことで、これまでコミュニケーションやコンテンツなどの「広告」によって成り立っていたマーケティングから、日本コカ・コーラにしか提供できない価値、「サービス」を軸にしたマーケティングに進化すべきだと展望を話した。

同社が掲げる「マーケティング3.0」は「デジタルとリアルを統合して、生活者とブランドに価値を提供し続ける」コンセプトのもとにあると解説した。

今後、IMCという組織もコミュニケーションからサービスへとマーケティングの軸が移っていくことに合わせ、IMS(Integrated Marketing Service)へ変化していくという見解を示した。

そのためには、これまでの囲い込みの発想から、生活者が「これが好きだから」と「砂鉄が磁石に引き寄せられるような」サービスを展開しなければならないと話し、それが「マーケティング4.0」にるのではないかと話した。

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日本ロレアルのデジタル戦略統括責任者CDOの長瀬次英氏。

イベントではほかにも多くのセッションが開催された。日本ロレアルのデジタル戦略統括責任者CDO(Chief Digital Officer)長瀬次英氏は、同社がCDOを中心に進めるデジタル化について講演。

長瀬氏はCDOという役割が将来的には、社内で最も顧客を理解している存在としてCCO(Chief Customer Officer)になっていくという見解を示した。

さらには、社内でデジタルが当たり前になると、それを担う役割は必要なくなる。デジタルという言葉は口にされなくなり、全社員がCDOのように動けるようになったとき「企業のデジタルトランスフォーメーションは完了したと言える」と話した。

体制も新たに開催された「I・CON2016」を通じて、デジタルマーケティングの今と未来、そのために必要な企業のデジタルトランスフォーメーションの姿を感じることができたのではないだろうか。


編集協力
株式会社アイ・エム・ジェイ