サカナクション山口一郎が語る、企業ブランドとロックバンドの新たな関係

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BusinessとConsumerをつなぐコミュニケーションポイントとしての「音」

—Origamiさんは、ロゴやUIなどのデザインにこだわっている印象がありますが、決済サウンドは康井さんの中でどんなこだわりがあったのでしょうか。

康井:Origami Payは、現金、クレジットカードでも現状成立している「お金の取引」にアドオンするサービスです。だから、Origamiを使うことで特別な体験ができる、ということを気持ちのいい音で表現したいと思っていました。

山口:CDアルバムを作るときも、最初に決めたコンセプトに基づいて感情をデザインしていくのですが、Origami Payの決済サウンドも同じ考え方で作っていきました。
決済サウンドは、Origamiブランドが持つイメージから、使って楽しい、エンタテイメントの側面もありながらもインテリジェンスを感じるような音にしたいと思っていました。最初は「Origami」という日本由来の企業名から、「日本の音」というコンセプトで提案しました。アイヌのトンコリという弦楽器を使ったり、鈴の音で清める意味合いを出してみたり。ただ、康井さんから、「よりサカナクションらしい音を」というオーダーがあり、最終的には60パターンくらいの音からピックアップしてもらい、ディスカッションを重ねて今回の音に決まりました。

康井:山口さん自らオフィスに来てくれて、60パターンの中からイメージに近いものを選んで、話をする中で決まりました。

山口:まさに、今までずっとやりたかった、企業の人と直接議論をして音を生み出していくというプロセスでした。

—今回の取り組みで、Origamiユーザーやサカナクションファンからはどんな反応がありましたか。

康井:「決済音が聴きたいからOrigamiで決済する!」という人がいましたね。(笑)
お店側からも気持ちのいい音だというフィードバックがあり、もっと音が大きく聴こえるようにしたいという要望があったりもしました。

Origamiが決済というサービスの中でポイントだと思っているのは、「BtoC」というワードです。「BtoC」とは、言葉通りBusinessとConsumer。つまりお金のやりとりが含まれて初めてこの言葉が成立するわけです。BとCの間をつなぐのが決済であり、テクノロジーでこの接点をよりよいものにするのがOrigamiのミッションだと考えています。だからこそ、決済の瞬間をコミュニケーションのポイントと捉え、BとCをつなぐ「音」を価値あるものにしたいという気持ちは強くありました。

山口:サカナクションのファンからはTwitterやInstagramで色々な感想をもらいました。サカナクションの曲が好きという人が、曲でなく音に対してもリアクションをしてくれる、ということが分かったのは発見でした。

ロックバンドが企業の音を作る、という取り組みにいい違和感、いい裏切りを感じてくれた人が多くいたことが、何より嬉しい反響でした。

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