コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

メンタリストDaiGoとファンドマネージャー房広治が語る「コンサルティングの心理学」【前編】

share

会社は副業を禁止した方がいいのか?

DaiGoさん

DaiGo:オックスフォード大学では、インディペンデント・シンキングというゼロからつくる考え方と、オリジナル・シンキングという独立した観点での考え方を徹底的に叩き込まれます。また、ペンシルベニア大学で最年少終身教授の称号を持つアダム・グラントさんは、著書の中でオリジナリティをつくるための方法について書いています。それによると、成果を求める欲求が強まると、失敗を恐れて自由な発言や創造性が減る傾向にあるそうです。オリジナリティの観点からは「副業」した方がいいようです。創造性を発揮して、大きな事業や成功を掴んだ起業家のほとんどは、副業からスタートしています。アダム・クラントの調査では、会社を辞めて、全てをなげうつようなリスクを取った起業の方が失敗に終わる可能性が高いことがわかっています。逆にリスクをとらずに、副業でスタートした場合の倒産リスクは33%も減ります。安心できる本業があった方が、創造的なことにチャレンジできるのです。

房:投資の世界も同様に、あたかもリスクをとっているように見えるものが、実際にはリスクを軽減させているということがよくあります。Calculated Riskと言われますが、投資に対してのリスクを分析し、自分がとれる範囲のリスクがどれぐらいになるかを計算して、リスクをとり、利益を出すという手法ですね。

DaiGo:それは面白いですね。自分がどうなるのか分からない状態を本当のリスクと言うのかもしれません。安心できる状態で副業にチャレンジして、そこで得た創造性を本業で活かせば、社長も社員もうれしい。それが、心理学的観点から言える結論です。サラリーマンで安定しているのなら、リスクをとった方がいい。

僕が運営している「ニコニコ動画」の番組で、ディー・エル・イーのファウンダーである椎木隆太さんに出てもらった時に、「僕がもし生まれ変わったら、中学生で起業する」と言っていました。「中学生で起業すれば、失敗しても高校生で起業できるし、高校生で失敗したら大学生で起業できる。大学生がダメだったら就職すればいい。リスクを取れる時に取っておけば、失敗してもつぶしがきくのに、なんでみんなつぶしがきかなくなってから挑戦するのだろうね」というわけです。視点が面白いですよね。

房:DaiGoが言った、インディペンデント・シンキングは、同じような人間が集まっているところでは起こりえません。全く違う業種の、全く違う考え方をする人間が集まると、人間同士の化学反応が起こり、新しい考え方が生まれる。そこで経営の視点でも、同業で働くことを除けば副業をしてもいいという規定にした方がいいのではないか。その方が、従業員の生産性、独創性があがり、企業に貢献できると思う。

日本企業は、あまりにも労働者が転職をしようとしない、すなわちモビリティが無い労働市場である。特に大企業になればなるほど、社員がずっと同じ会社にいるという風潮がある。それでは、オリジナルな考え方や独立的思考は起こりません。しかし、それを起こさないとAIが進出してくるこれからの世の中ではかなり厳しい立場になるでしょう。

DaiGo:続いては、M&Aにおける心理戦について聞いていきたいと思います。

※後編(2017年1月14日公開予定)に続く

電通報でも記事を掲載中です。


「電通」に関連する記事はこちら

DaiGo

慶応義塾大学理工学部物理情報工学科卒。人の心を作ることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。大学在学中にイギリスのメンタリストDerren Brownに影響を受けて、人間心理を読み、誘導する技術メンタリズムを学び始める。パフォーマーとしてTV出演をしていたが、現在は人間心理の理解を必要とする企業のビジネスアドバイザーや作家・講演家として活動。ビジネスや話術から、恋愛や子育てまで幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は累計100万部。

 

房広治

兵庫県出身。早稲田大学理工学部卒。オックスフォード大学に留学中の1984年から1985年、当時オックスフォード市に家族で住んでいたアウンサンスーチーの自宅の最上階の最初の下宿人となる。大学院在学中にイギリスのインベストメントバンクからM&Aアドバイザー部門で就職する機会を得て、ロンドンでの本格的なM&Aアドバイザーの日本人第一号となる。ヨーロッパでのM&Aアドバイザーとして、最高のインベストメントバンク・S.G.ウォーバーグ社の一員として1990年に日本に帰国。2003年にロンドンに再赴任した後、2004年に独立。ミャンマーのバゴー州テゴン地域にて最新式精米所を建設中、12月に完成予定。オックスフォード大学のSpecial Strategic Advisor to the Department of Paediatricsである。

 

能勢哲司

中国上海市出身。電通で上海万博プロジェクト、自動車メーカー担当営業を経てクリエーティブブティックへ出向。その後、現在の事業開発領域ビジネスに従事。デジタルファブリケーション分野のビジネス開発からスタートアップ企業との協業、異業種とのネットワーキングに注力している。

 

Follow Us