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ニューヨークに登場したグーグルのポップアップ・ストア現地レポート(後編)

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【前回】「ニューヨークに登場したグーグルのポップアップ・ストア現地レポート(前編)」はこちら


りばてぃ
Liberty & Friends, Inc.代表

ニューヨーク情報及び、海外情報に精通したマーケティング・コンサルタント。ブログ「ニューヨークの遊び方」を運営。企業向けのコンサルタント業務他、各種メディアへの執筆も多数あり。著書に、『ニューヨーク在住の日本人マーケティング・コンサルタントが語る「日本のビジネスに本当に必要なこと」』(2016年、幻冬舎)がある。


それではいよいよニューヨーク初のグーグルのポップアップ・ストアの店内を簡単にご紹介しておこう。

まず、この店舗の特徴の1つは、ショールームであるということ。この店舗では、商品を販売せず展示だけ行っている(グーグルの公式Eコマース・ストアや各種家電店などで購入可能)。お客は自由に最新テクノロジーを搭載したグーグル社製の製品に触れたり、スタッフのガイドに従って製品を試用できるようになっていたりする。例えば、VRヘッドセットの「デイドリーム」(Daydream)、スマートフォンの「ピクセル」(Pixel)、AI(人工知能)アシスタント機能が入った「グーグル・ホーム」(Google Home)などだ。

特にVR技術は、2016年中に複数の企業が独自のVRヘッドセットを発売するなどし、アメリカでは大きな注目を集めており、「VR元年」とも呼ばれていたことから、店内でグーグル版のVR技術を無料体験する人々の様子は、専門メディアに限らず、様々なメディアで報じられた。

VRの他にも、グーグル製の最新テクノロジーを体験できるコーナーがあり、例えば、超高感度カメラを内蔵したスマートフォン「ピクセル」の体験コーナーには、暗所撮影を体験できる完全な暗室スペースまで用意されていた。

さらに、グーグル社独自のAIアシスタントが入った「グーグル・ホーム」の体験コーナーには、音声指示による家電のコントロールを体験できるデモ部屋も。「OK、グーグル」などとAIアシスタントを呼びかけ、音声だけで家電を操作できる(例えば、電気の点灯や部屋の温度調節など)。まるで、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」に描かれた未来の世界のようだ。赤ちゃんや小さいお子さんのお世話で手が離せないとか、お仕事や勉強中にちょっと音楽をかけたいなんて人に便利かもしれない。

前半でも指摘したとおり、グーグルによるニューヨーク初の実店舗となる本件は、インターネット上でのビジネスを提供してきたIT企業が広告・ブランディング戦略の一環として、リアルな体験の場を設ける実例のひとつとしても興味深い。あるいは、Eコマースと実店舗を組み合わせる新たな小売ビジネスのテスト・マーケティングとも考えられるだろう。

なお、近年のアメリカでは、IT企業が、実店舗をオープンし、物理的なプレゼンスを持つ事例が増えており、インターネット上の仮想店舗との対比から、そうした店舗をブリック・アンド・モルタル(Brick and mortar、略称:B&M、煉瓦とモルタルでできた建物という意味)と呼ぶことも多い。さらに、インターネットと実際の店舗や流通機構を組み合わせた販売形態を、ブリック・アンド・モルタルに引っ掛けて「クリック・アンド・モルタル」(Click and mortar)と呼ぶことがある。

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