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スーパーボウル2017を振り返る-スタートアップ企業も大健闘

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アメリカンフットボールリーグ・NFLの優勝決定戦であり、広告界でも注目度の高いイベントのひとつ「スーパーボウル」。テレビ中継は毎年、その年の年間最高視聴率を記録する同イベント、今年2月に行われた第51回大会の観戦者・視聴者数は歴代2位の1億1370を記録し、CM出稿企業は49社にのぼりました。近年は、ITベンチャーを中心とするスモールビジネスの参戦も目立ちます。編集部が注目した7ブランドのCMを紹介します。

【1】いつでもどこでも気軽に確定申告!をコミカルに伝える
TurboTax「Humpty Fall」「Humpty Hospital」

「TurboTax(ターボ・タックス)」は、簡単な質問に答えていくだけで確定申告 用の用紙が出来上がるソフトウェアサービス。今回で4年連続のCM出稿となっ た。今年は女優のキャシー・ベイツ、カーラ・ソウザ、元メジャーリーガーのデービッド・オルティス、DJキャレドといった豪華キャストを起用。

TurboTaxを使えば、いつでもどこでも簡単に確定申告ができることを訴求する内容だ。主人公は、有名な童謡「マザー・グース」に登場する卵を擬人化したキャラクタ ー、ハンプティ・ダンプティ。「Humpty Fall」では、「ハンプティ・ダンプティが塀から落っこちた」という、 童謡の歌詞そのままのシーンが写し出される。

バラバラになって地面に横たわるハンプティ・ダンプティ。なぜこんなことになったのか……実は塀の上に座って確定申告をしていたから、というオチだ。「なぜそんなところで?」と誰もが首を傾げるが、当のハンプティ本人は「だってできるんだもの!」と開き直る。

続編の「Humpty Hospital」では、入院中のハンプティが医療費控除について オンラインチャットで専門家に相談している様子が描かれ、TurboTaxの便利で安心なサービスを訴求している。

TurboTaxのスーパーボウルCMは、 毎年ユニークながらも“ド直球”な表現・メッセージが特徴的だ。昨年のCM に起用されたのは、『羊たちの沈黙』のレクター博士で一躍有名になったアントニー・ホプキンス。CMでは、彼がインタビューを受ける様子が描かれた。

「私は、何かモノを売るために、自分の名前を貶めるつもりは一切ない」と自信満々に語るホプキンス。しかし、その手には「TurboTax」のブランドロゴが 入ったマグカップが握られ、足下を見ると同じロゴ入りのスリッパを履いている。さらには「TurboTax」の説明まで始めてしまう始末。

困惑したインタビュアーが「宣伝に魂を売らないのではないのですか?」と聞き直すと、「だって(TurboTaxは)無料だからね。『売って』はいないだろう?」とあっけらかんと答える。そして、ホプキンスが「TurboTax.com!」と呼びかけると、「TurboTax」のロゴ入りウェアを着た愛犬が彼の膝に飛び乗る。今どき珍しいほどの“ド直球広告”だった。

【2】長編映画になりそう!?変化の時代にも安心のサービスを訴求
Wix.com「Chez Felix」

誰もが簡単に無料でWebサイトを作成できるサービス「Wix.com」は、今回で3回目の出稿となった。起用したのは、アクション俳優のジェイソン・ステイサムと、モデルで女優のガル・カドット。CMは2連作で、まるでアクション映画さながらの映像となっている。

舞台はとあるレストラン。ヘッドフォンで音楽を聴きながらシェフのFelixが店のホームページをつくっている傍ら、ジェイソンとガルが突如入ってきた“悪役”と大乱闘を繰り広げ、店を破壊してしまう。店を失ったFelixがフードトラックを始め、新たなHPをつくっていると、2人がトラックに乗り込んできてカーチェイスを始めてしまう。激走の末、あわや海にダイブ……と思いきや、着地した先は豪 華クルーザー。今度はディナークルーズのHPをつくり始める…という内容。

変化の時代にも、フットワーク軽く Webサイトが構築できるWix.comの魅力をアピールした。CMと連動し、Wix.comを利用する“Felixのような”スモールビジネスのオーナーに計5万ドルが当たるキャンペーンも実施した。

【3】新たな挑戦をする人を応援するブランド姿勢をアピール
Squarespace「Who Is JohnMalkovich.com?」「Calling JohnMalkovich.com」

Webサイト構築・運営ツール「Squarespace(スクエアスペース)」は、今年で4年連続のCM出稿 を果たした。今年は個性派俳優のジョン・マルコヴィッチを起用。彼が自分のファッションブランドを立ち上げたところ、「johnmalkovich.com」というドメインがすでに別の「ジョン」に取得されていた…というストーリー。

怒り心頭のマルコヴィッチが「ジョン」に対して何とかドメインを破棄させようとする姿を描きながら、「GET YOUR DOMAIN BEFORE ITʼS GONE(自分のドメインは、なくなる前に取得しましょう)」と、Squarespaceを使ってサイトをつくることを促す。

マルコヴィッチは過去にもSquarespaceのCMに出演しており、その縁で、彼がブランドを立ち上げる際にSquarespaceが「johnmalkovich.com」ドメインを取得するサポートしたという経緯がある。

ファッションデザイナーとしてのマルコヴィッチの新たな挑戦を描く特設サイトもオープン。彼のように挑戦を志す人を応援するブランドの姿勢を示した。

https://www.squarespace.com/john/

【4】守り続けてきたアボカドの秘密がついに明らかに…!?
Avocados From Mexico「Secret Society」

アボカドを広めるためにメキシコの商工会などが運営する非営利団体「Avocados From Mexico」は、今回で3回連続の出稿となった。

アボカドは「森のバター」とも呼ばれるほど脂質が多くカロリーも高い食材。しかし、この脂肪酸の80%は「不和脂肪酸」という良質な脂肪で、血液をサラサラ にしてコレステロール値を下げる効果があるという。CMは、そんなアボカドのヘルシーさを訴求する内容だ。アメリカ食品医薬品局(FDA)が栄養成分表示を改正したことにより可能になった表現だという。

CMの舞台は、ある秘密結社の会合。これまで守り続けてきたいくつもの「秘密」のうち、アボカドの栄養に関する事実「#AvoSecrets」をいよいよ隠しきれなくなったと、メンバーがざわつく様子を描く。

CMと連動したデジタルコミュニケーションも実施した。多数のアプリがインストールされたスマートフォン画面のようなデザインの特設サイトを用意し、インタラクティブかつSNSでのシェアが可能なコンテンツを多数提供。「#AvoSecrets」の話題化を図った。

 

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