コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

シンガタ 佐々木宏さん、女優 樹木希林さんが特別対談「世の中発の仕事をつくっていく」【後編】

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世の中発の仕事をつくっていく

佐々木:私の60歳の誕生日の時、希林さんにビデオでお祝いのコメントをいただきました。その中で「60歳になったのだから、これまでやってきた仕事はいったん横に置いて、新たな方向性を見つけてください。世の中にある問題を、もっとCMの世界の人が発信をして、政治家の頭にバチーン!と響くように、伝える方法はないですか?」というお言葉をいただきました。

この希林さんの「ためになることをやったら?」というひと言で、何かを気付かせていただいたんです。

日本を元気にすることに関われるのはいいことだなと。それに昔から、僕は日本のCMを作りたいと思っていたんです。

樹木:それもね、受け取り方の問題ですよね。最後に11歳のブラジル人の少年の言葉を言わせてもらって帰ろうと思います。

「言葉というのは、人を幸せにもするし、人を傷つけもする」

簡単な文章でしょう。たったこれだけのことです。言葉というものは、置き場所によって、見事に生きることもあれば、すごく傷つけてしまうこともある。

私は人間も置き場所だろうと思います。例えば広告会社の中にはいろんな部署があるわけで、人の置き場所を決める時は、一人ひとりの素質を見て、じっくり熟すのを待ってあげるということが、すごく大事なんじゃないかと思います。

もし自分の居心地が悪い時は、それを不満に持っていかずに、糧にして、何かを見つける。人生は結果じゃないんですから。人生は過程がなかなか面白い。あんまり頭を抱えないで、楽しくやっていただけたらなと思います。

人間の置き場所、言葉の置き場所。これを頭に入れていただければ、2017年はすごいコピーがたくさん出てくるんじゃないかと思って、楽しみにしております。

今日はどうもありがとうございました。

佐々木:希林さんは、とにかく人間としてすごくカッコいいんです。僕がとても大切にしている、尊敬する素晴らしい方です。私がいろいろしゃべるよりも、皆さんの心に残るようなお話があったように思います。希林さん、大変ありがとうございました。

僕は希林さんの言葉で「クライアント発」の仕事だけじゃなくて、「世の中発」の仕事があるんじゃないかと思うようになったんです。

そのことに、やっとこの年になって気付きました。広告会社も競合と戦うだけではなく、日本をもうちょっとよくしたいよねとか、みんなをもっと楽しませるためには何をしたらいいんだろうかという発想から企画を考える、という方法もいいかなと思うんです。希林さんがおっしゃった「面白くて、ためになること」をやっていく。そういうふうであってほしいという思いがあります。

私の「かえって良かった」という話は、あまり説得力がなかったかもしれませんが、今日をきっかけに「いろいろあったけど、あれを機に良くなったよね」と思えるように願っております。

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佐々木宏

慶應義塾大学卒業。1977年、電通入社。新聞雑誌局に6年。クリエーティブ局に転局して20年。コピーライター、クリエーティブディレクター、クリエーティブ局長職を経て、2003年7月「シンガタ」を設立。企業イメージや商品イメージのブランディングをはじめ、数多くの広告作品を手掛けている。ADCグランプリ、TCCグランプリ、ACCグランプリ、カンヌ国際広告フェスティバル金賞、広告電通賞、朝日広告賞、日経広告賞、毎日広告デザイン賞最高賞、フジサンケイ広告賞グランプリ、クリエイター・オブ・ザ・イヤー賞ほか受賞多数。

 

樹木希林

女優。1943年1月15日生まれ、東京都出身。A型。ドラマ「寺内貫太郎一家」やフジカラーのCMなどでコミカルな役を務め、個性派女優として注目を集める。以降、数々の話題作に出演し、映画「わが母の記」では第36回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を最年長の70歳で受賞。最近では映画「あん」で主演を務め、「海よりもまだ深く」にも出演する。

 

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