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広告を出せない・出さない企業こそ、コピーライティングにこだわるべきだ!

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製品はメーカーのものではない ユーザーのものである、という前提

コピーライティングの具体的な方法論に移る前に、自社ブランドの「見せ方」に関する基本的な心構えについて説明したい。この前提を理解することができれば、本稿で取り上げるコピーライティングに留まらず、自然と人に伝わっていくコミュニケーションづくりが可能になるからである。

この前提は非常にシンプルで「自社ブランドは自分たちメーカーのものではなく、ユーザーのものである」というものだ。

もちろん、製品やサービスを設計し、製造・販売するのはメーカーの仕事であり、責任である。その一方で、製品やサービスが性能を発揮するのは、ユーザーの手に渡ってからであることも否定できない。

さらに言えば、購入および利用料金が支払われた直後には、所有権が企業からユーザーに移り、ユーザーの所有物になる。つまり、どんなブランドも、ユーザーのものになる運命を背負っているのだ。

この前提に立脚すると、ブランドを語る際の主語が変化する。「我が社の製品は……」「うちのサービスは他社と違い……」と自社が主語であったものが、「あなたの生活をこのように改善できる」「御社の事業を成長させられる」と主語がユーザーに移る。言われてみれば当たり前に思えるのだが、多くの企業が前者の視点から考えてしま っているのが現実である。

企業は常に足下の売上に追われるなかで、自社ブランドを選んでもらうために、製品やサービスの長所をアピールしてしまう。しかし、話を聞いている相手が望んでいることは「自分にどんな得があるか」の一点でしかない。

つまり、自社ブランドの持つ強みを、相手が望んでいる価値へと結びつける文脈づくりこそが重要と言える。この物性と価値の翻訳さえできれば、相手は喜んで製品やサービスへの対価を払おうとするだろう。

そして、この新しい文脈づくりこそが、コピーライティングの本当の役割なのだ。

物性を言い当てるだけでは足りない カギは、物性の価値化にある

では、具体的なコピーライティングの 方法に話を進めよう。

多くの方はコピーライティングの役割を、製品特徴を分かりやすい言葉で表現することと認識しているのではないだろうか。実はここに、大きな誤解があるのだ。

物性は製品やサービスそのものの機能でしかない。前項で述べたように、製品やサービスの本当の力は、メーカーの手を離れ、ユーザーに手渡された後に発揮される。そのため、メーカーが生み出した物性をユーザーが享受できる価値に変換しなければならない。

物性を通じて、ユーザーのどんな不便や不満を解消し得るか。どんな新しい楽しさを提供できるか。ここまでを言葉にできてこそ、製品やサービスが世の中に存在する意義を伝え切るという目的が達成されるのだ。

あえてマーケティング用語を用いて説明するならば、製品バリューチェーンを「設計する」「調達する」「製造する」「知らせる」「販売する」といったメーカーの活動範囲内に留めるのではなく、「購入する」「使用する」「便益を感じる」といった生活者の手に渡った後にまで拡張する視点が重要と言える。

この構造を図解すると、上図のようになる。自分の視点がどこまでの範囲を認識できていたか、できていなかったかを、ご確認いただきたい。

続きは、本誌をご覧ください。


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