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#SXSW2017 「GLICODE」出展を通じて感じた「技術教育」市場の盛り上がり

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村上晋太郎 Shintaro Murakami
電通 CDC クリエーティブ・テクノロジスト

東京大学で自然言語処理、画像認識を専攻する傍ら、iOSアプリ開発やWebサービスの開発にも携わる。2016年電通入社後、クリエーティブ・テクノロジストとしてデジタルクリエーティブ系のプロジェクトを担当。学生時代のプログラミング経験を活かし、モバイルアプリやIoTデバイスのプロトタイピングなどに取り組む。


教育を柱としたイベント「SXSWedu」、そしてSXSWについて、複数回にわたって現地レポートをお送りしています。前回はSXSWeduの出展企業へのインタビュー。2回目の今回は、出展したプロダクト「GLICODE」の出展レポートをお届けします。

SXSWを、GLICODEグローバル展開の第一歩に

GLICODEは、江崎グリコにより2016年8月に公開されたプログラミング学習アプリケーションです。

ポッキー、ビスコ、アーモンドピークなどのグリコの商品を並べ、画像認識で読み込むことで、お菓子をプログラミングのコードに変換することができます。お菓子でつくり上げたコードを用いてメインキャラクターの「ハグハグ」をゴールに導くことで、「順次実行(SEQUENCE)」「繰り返し処理(LOOP)」「場合分け(IF)」といったプログラミングの基本的な考え方を学ぶことができます。子どもにとって親しみやすい「お菓子」の力を借りて、子どもにとってハードルの高いプログラミング教育の入り口をつくる、教材アプリケーションです。

アプリのリリースに加えて、半年間で10回ほど体験ワークショップを開いたり、教員向けのティーチングマニュアルを作成するなど、教育現場への普及活動を行っています。2017年には国際展開を目指しており、その第一歩としてSXSWeduへの出展を行いました。

画像認識でグリコのお菓子を読み込み、プログラムに変換する。

作成したプログラムでキャラクターを操り、さまざまなステージをクリアする。

今回の出展では、「ただ展示会での体験で終わらせるのではなく、実際に家や教育現場にGLICODEを持ち帰って利用してもらえるようにしよう」という目標を持って展示を行いました。そのため、出展に先立ち、海外のユーザーが遊べる「GLICODE国際版」の開発・公開を行いました。

開発にあたっては、「海外では日本と同じお菓子が売られているわけではない」というGLICODEならではの課題に直面しました。そのため、単純に日本版のアプリを英語化するだけではなく、海外でも入手することができるお菓子で遊べるようにアプリのシステムをつくり直す必要がありました。「ビスコ」や「アーモンドピーク」は海外では入手しにくい場合がありますが、「ポッキー」は海外でも人気で、米国でも地元のお菓子屋さんで購入することができます。

海外の食品店に陳列されているポッキー(現地オースティンにて)

そこで、世界中で購入できるポッキーのみで「順次実行(SEQUENCE)」「繰り返し処理(LOOP)」「場合分け(IF)」の三要素を学習することができるように、GLICODEのプログラミングルールを再構築しました。また、一つのお菓子だけでも内容にバリエーションをつけて「楽しみながら」学んでもらえるように、新しいギミックや新ステージの追加を行いました。

次ページ 「英語圏のエンジニア、子どもたちを対象にテストマーケティングを実施」へ続く