顧客が欲しいものを、顧客に聞くのは時間の無駄なのか?

顧客視点で考えるときの「陥りがちな罠」

前回のコラム

では、割引きキャンペーンは長い目で見ると顧客のためにならないのではないか、という話をご紹介しました。このコラムでは、顧客視点で考えることの重要性をテーマにしていますが、一方で「陥りがちな罠」があります。それは、顧客に正解を聞こうとしてしまう問題です。

新製品を開発したり、販売したりする際の市場調査は、どの企業も必ず行っていると思います。ただ、画期的な新商品における正確な市場調査というのは特に難しいと言われます。

例えばiPhoneが世の中に初めて出てきた時、日本には既にガラケーが普及しており、ガラケーでも同じことができるからiPhoneは普及しない、という議論が多数されていました。

今となっては、信じられない話だと思う方も多いかもしれませんが、当時は大真面目にそういった議論がされていたのです。もちろん、皆さんご存じのように、蓋を開けてみれば日本は世界でも有数のiPhoneシェアが高い「iPhone大国」になっていました。

これは、顧客は自分が使ったことがないものは、それが必要な自分をなかなか想像できないという典型的な事例と言えるでしょう。

ここまで極端なケースでなくとも、顧客にアンケートをとった内容の傾向と、それに伴って実施した施策による結果が、大きく異なるという事例は世の中に事欠きません。

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徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

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