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資生堂・音部氏が語る、マーケティングを成功に導くために必要な「戦略」

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戦略が良くても実行がおろそかなら、マーケティングは失敗する

マーケティングを成功に導くには、良い戦略を立てるだけでなく、それを適切に実行することも大事だ。敢えて戦略と実行のどちらを重視するかを考えたとき、音部氏は「戦略」を重視すると言う。なぜなら「いくら全力で実行していても、戦略が間違っていたら目的は達成できない。達成できないどころか、事態が悪化するかもしれない。途中で戦略のミスに気づけたとしても、間違えた戦略で進んだ分を取り戻すのはきわめて困難」(音部氏)だからだ。

だからと言って、戦略が正しければ実行をおろそかにしてよいわけではない。実行がおろそかでも目的が達成できないことに変わりはない。戦略を重視するのは、実行上の失敗に比べて戦略上の失敗はリカバリーが難しくなるからだ。音部氏は続けて、マーケティングの実行段階での注意点を2つ述べた。

ひとつめは、「やみくもに多数の施策を同時に実行してはならない」。仮に成功したとしても、同じ結果を再現するためには同等の資源を再び揃えないといけなくなり、効率を改善できないからだ。これは、施策の成否に関わらず、多数ある施策のうち何が結果の要因になったかを分析するのが困難になることに起因する。この状況の回避策として、音部氏は「目的と資源に照らして、実行する施策を事前に絞り込む」「こまめに実行結果を確認しながら進める」の2つを挙げた。

もうひとつの注意点は、「目的が曖昧なままプランを実行すべきではない」。取引先や上司から漠然とした指示をされるケースがその代表例だ。「目的がわからなければ相手が考えている目的や期待値を聴く。もう少し工夫するのであれば、自分が理解している目的を相手に伝え、認識に相違ないかを確認してみる。こうすれば、簡単かつ確実に目的が明確になる」と音部氏は言う。さらに「自ら考えた目的と実行プランを、具体的な根拠を交えて提案する」ことができれば受け身ではなく能動的に仕事ができるようになると付け加えた。

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