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世界は日本のクリエイティブを待っている モバイル部門審査レポート — カンヌライオンズ2017レポート

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GOOGLE HOME OF THE WHOPPER
GOOGLE HOME OF THE WHOPPER(ゴールド受賞)は、デバイスをまたいだコミュニケーションに挑戦したこと自体の勇敢さもさることながら、このコミュニケーションに反応するGoogleやネガティブなソーシャルリアクションにめげることなく、挑戦し続ける姿勢が素晴らしいと思います。ビデオの冒頭の太ったおじさんが最高で、「Quit messing with my mind!」は、僕らの流行語になりました。

 

KISS THE KREMLIN
KISS THE KREMLIN(シルバー受賞)は、やや一点突破感があるのでゴールドこそ逃していますが、僕らはピッカピカのシルバーと言っています。LGBT表現が禁止されている国家に対して、ソーシャルの力で果敢に立ち向かっています。

 

YASMIN’S SEX-ED REVOLUTION
YASMIN’S SEX-ED REVOLUTIONもピッカピカのシルバー。避妊と性教育の広告禁止という中国当局に立ち向かい、女子大生たちにとって本当に必要な情報を真剣に届ける方法に挑戦し、すぐに通報され、それでもめげずに活動を広げていきました。表現のクラフトや展開力がついてくればゴールドだったんじゃないでしょうか。

 

FLEETLIGHTS
FLEETLIGHTS(シルバー受賞)については授賞式の後になっても、やっぱりこれにはゴールドをあげるべきだったんじゃないか?と議論が続いています。僕自身も非常に悩んだエントリーです。もしかしたら「世界から街灯のない道をなくす」仕事になりうると思います。僕らはPROVEN WORK(社会に試され、存在意義を証明した仕事)を探そうという意思があったので、ほんの少しだけゴールドに届きませんでしたが、このクリエイティブチームにはこれで諦めず、世界中にこの仕事を広げて、破壊的なリザルトと共に来年もう一度チャレンジしてもらいたいです。

 

Japan Tech & Design

そんな中で日本のエントリーはどうかというと、その多くが世界と違う4つの特徴を持っていました。

まず、明らかに得意なことが二つあります。それは実験的テクノロジーとデザインクラフトです。これは受賞作、ショートリスト、そしてショートリストに残らなかった作品全体に共通するもで、審査委員長のアンディも全てのプロセスを通して感じていたと言っていました。

KIBO 360
最終的に受賞には至りませんでしたが、世界中が大好きな折り紙のクラフトを利用して、カードボードのデザインの可能性を拡張した点は、審査員誰もが認めるものでした。

 

GLICODE
グリコード(ブロンズ受賞)もAR技術をプログラミング教育に利用しつつ、それを高いデザインクラフトで定着させている点に評価が集まりました。とても日本らしい受賞のしかただと思います。

 

一方、ストーリーテリングと、勇敢さに欠けるのが日本の特徴で、星の数ほどのエントリーがこの観点でリストから外れていきました。

そんな中、得意な二つをしっかりと使いつつ、苦手な二つを克服したエントリーがありました。それがTHE FAMILY WAYです。

次ページ 「Grand Prix」へ続く