老舗がSNSに挑戦する意義
編集部:老舗である両社が積極的にSNSを活用しているのは、非常にチャレンジングなことだと思います。
井村屋:もともと社内で指令があったわけではなく、私から「SNSを始めたいです」と提案しました。おそらく上層部もまだSNSについてそこまで理解していなかったこともあり、ボトムアップで始まり権限と責任は私に委譲されています。今も誰かの指示や確認を経るわけでもなく、全責任を持って投稿しています。自由である反面、もしかすると投稿ひとつで会社の評判が下がってしまうかもしれない。そんな覚悟も常に持って、気を引き締めていますね。
目標はあくまでも「井村屋」のブランディングで、それは今も変わっていません。数値もKPI(重要業績評価指標)のベースとしては測っていますが、数値を気にし過ぎると目標がズレてしまうと考えています。業種業態によって運用方法や目標は異なりますが、井村屋の場合はエンゲージメント率ではなく「エンゲージメント数」を重視しています。
伊藤:当社は老舗のお茶屋ではあるものの、40代の社長をはじめ社員が比較的若く、新しい取り組みを始めやすい風土がありました。SNSに関しては井村屋さんとは逆で、上司から命じられて運用をスタートさせたのがきっかけです。現在はチームのリーダーである私に、SNS全般の権限があります。最初の1年ほどは上司とチーム内で実験的にスタートさせて、結果が出たことで会社として取り組むようになったという経緯があります。
編集部:以前、取材で御社のFacebookページのエンゲージメント率は平均10%超と聞き驚きました。
伊藤:FacebookとInstagramで「反応の良い」投稿の9割は画像で決まると思っています。私たちは「伊藤久右衛門」というブランドを広げるためにSNSを始めていたので、当初は本店の外観や店内に飾られているお茶碗、宇治の景観といった雰囲気重視の画像を投稿していましたが、反応はあまりよくありませんでした。そこから試行錯誤をした結果、商品そのものを魅力的に見せる画像の反応がいいということが分かってきました。
井村屋:私たちもそこは同じですね。Facebookでいえば先行企業の事例などを参考にして、はじめは知られざる会社の裏側や社員の様子をアップしていましたが、まったく反応がありませんでした。むしろ商品のアップの画像を投稿した方が、反応がよかったんです。会社の立ち位置によって、魅力的な情報は変わってくるんだなと実感した経験でした。
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