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コラム

編集・ライター養成講座修了生が語る いまどきの若手編集者・ライターの生き方

企画書も原稿も、読む人の立場になって考えよう!

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編集・ライター養成講座33期卒業生 横山由希路

【前回のコラム】「ノンフィクション課題で、相手の核に迫ろう!」こちら

卒業制作について
「編集・ライター養成講座」では、講義が終盤を迎えると、卒業制作の企画書を皆の前でプレゼンします。私は個人的に、企画書の目標をこんな風に立てました。

目標:品田英雄さんからの企画書、ノーツッコミ!!

品田英雄さんは、33期の卒業制作指導講師の1人でした。会社でエンターテインメントの記事を書いていた者として、同じエンタメを見続ける品田さんに企画書を褒められたら、どんなに自信がつくだろうと思ったのです。

テープ起こしのテキストを読み、取材時に印象的だったことを紙に書き出していきます。①は1章のこと、④は4章のことです。左上には想定雑誌の「BIG tomorrow」がどんなキャッチコピーを立てているか、全体の雑誌のトーンがどうなっているのかを細かく書き出しています。

企画書は、熱く細かく全力で!

この企画書は取材対象者の安倍さんにも事前にお送りしています。企画書は設計図ですので、取材対象者にもきちんと見せられるものを早めに作ると良いでしょう。

自分が品田さんの立場になった時、どんな企画書ならばOKを出すかと想像してみました。

“絶対にこの企画を通したい、という書き手の思いが伝わる熱のこもった企画書”

“一目見ただけで、原稿全体の想像がつく詳細な内容”

私の取材対象者は、野球ライターの安倍昌彦さんでした。企画書を書く前に、時間の許す限り彼の著書を読み込みました。出来上がった企画書を品田さんに見ていただくと、ありがたいことにツッコミなし。安倍さんにも企画書をお送りしたところ、「全体の構成がよくわかりました」と安心して取材を受けていただくことができました。

いつも心に出川哲朗サンを!

私は取材対象者を事前に調べると、わかったような気になる悪い癖がありました。これは第2回で紹介した長田渚左さんインタビューで、彼女に見透かされていました。フリーとなり、長田さんといきなり仕事をご一緒した時に「書く時も、話を聞く時も知ったかぶりをするな」と指摘を受けました。聞く時の姿勢がどれだけ大事か。フリーになった今でも、木村さんの授業で長田さんに斬られまくったことを思い出します。

安倍さんをインタビューした際のテープ起こしのテキストです。熟読をして、重要な部分に内容に応じて色を変えた付箋を貼っていきます。付箋を見ながら、原稿の核になりそうなところを別の紙に書き出していきます。

インタビューで上手に話を聞けない人は、心に出川哲朗さんを思い浮かべましょう。そうです、リアクションです。卒業制作における安倍さんの2回目のインタビューでは、「えええ?」などのリアクションで、重要な話をほぼ引き出しました。困った時の出川戦法は使えますよ!素直に話を聞く気持ちはやはり大事です。

いよいよ記事を執筆する段階で掲げた目標は、“一気に読める6000字”でした。わざわざ人に6000字も読んでもらうのです。読ませる工夫をしなければ、読者が気の毒です。6000字原稿を1つの曲に例えるなら、テンポアップするのはAメロなのかサビなのか。私は2章と4章のテンポを上げて、ドライブ感のある書き方を目指しました。

読者は残酷な生き物です。面白くない原稿を読んではくれません。残酷な読者に読んでもらえるような原稿を世に1本でも多く送り出すべく、皆さんも一緒に頑張っていきましょう。

卒業制作を書く時に、この3枚の紙をPCの前に貼り付けて書いていました。野球の原稿でしたので、自分の原稿を凡打に例えられると屈辱なので、わざと紙に書いて、戒めとして貼っておきました。一番左は冒頭の書き出しでつまずかないように、漫画に例えて自分の原稿を検証するために書きました。

横山 由希路(よこやま・ゆきじ)

神奈川県生まれ、横浜市在住。フリーランスライター&編集者。インディーズ系レコードレーベルのプロモーター、漫画編集者を経て、エンタメ系情報誌の編集・ライティングに携わり、その後フリーに。編集者の傍ら、コミュニティFMのパーソナリティーを務めたことも。好きなものはプロ野球、演劇、フジロック、台湾・台南での古民家めぐり。「編集・ライター養成講座」総合コース修了生、上級コース受講生。

 

編集・ライター養成講座 総合コース

講師陣は、総合誌、週刊誌、ビジネス誌、ファッション誌、Webメディアなどさまざまな分野の現役編集長や、第一線で活躍中のライター・ジャーナリスト・作家など。多くの課題添削、実践トレーニングを通じて、現場で活躍できる編集者、ライターを養成します。