勝つために気をつけていた8つのポイント
私たちが2回の代表経験を通して見出した、世界で勝つためのポイントは8つあります。
1.おもしろい < 本当に効く
広告クリエイターには2種類いると思います。とにかく発想の面白さ、表現の秀逸さを重視するタイプと、本当に課題を解決する効果のあるものを重視するタイプです。
前回の記事でも述べましたが、国内のPR部門の審査員の方々は、それまでの受賞作を見るに後者の傾向が強いのではないかと思いました。2016年に代表に選ばれた案を講評いただいた際、審査員の方の「この施策だったら気持ちが変わるよね」というコメントを聞いてから、この審査傾向を感じるようになりました。
そのため私たちは、国内予選では比喩表現などの面白さよりも、「直接的だけど心が動く」ということを念頭に置いてプラニングしています。
2.「怒り」で議論を巻き起こす
ヤングコンペのアイデアで、「ビヘイビアチェンジを引き起こす」なんて、そう簡単にできることではありません。
私たちが10ページのプレゼン資料で表現できるのは、「世の中が議論して、その問題について考える」というところまでなのではないかと思っています。
人は、怒りを覚えると、声を上げます。私たちの国内予選のアイデア「MIGRANT TRANSFUSION」(詳しくは第1回をご覧ください)を例にとると、「どうして移民の血なんか輸血するんだ!ふざけるな!」と批判の声が出るでしょう。
それに対して、「移民であることに関係なく、血液は全て同じなんだ」というファクトを元に、怒りの声に反論する人々も登場し始めます。
つまり、ひとつの施策に対して、一定数が感情で反論し、一定数がファクトで賛同するという状態。こんな賛否両論の議論を巻き起こすことができれば、ビヘイビアチェンジの前段階である「パーセプションチェンジ」には十分寄与するはずです。
ただし、人を怒らせるようなネガティブな施策は、あらゆる審査員が好むわけではありません。もっとポジティブな施策が勝つことも多いので、この考え方は「諸刃の剣」であることにご注意ください。
3. AD < PR
国内予選も海外本選も、PR部門は、審査員の多くがPRエージェンシーの方々です。「ADっぽい」と言われた途端に、足元をすくわれます。
そう思われないために、私たちは元々あるニュースの文脈に施策をうまく乗せることを目指しました。私たちの2017年ヤングスパイクス本選のアイデア「I’M HOMELESS TODAY.」(詳しくは第1回をご覧ください)でいうと、「飛行機の大規模な欠航は必ずニュースになる」というPRインサイトがありました。このタイミングで何らかの施策を実施すればニュースになりやすいだろう、ということです。
もちろん露出は最低限の要件に過ぎません。その先にどうやって人々に議論を起こさせるか、行動変容を起こさせるかがPRとしては重要です。
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