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メディアは「広告媒体」から脱却すべき — CNN広告営業トップが提言

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──近年は特に、広告事業におけるデータ活用に力を入れていると聞く。

消費者とより一層深い関係性を構築するために、近年は「データ」と「クリエイティブ」の2領域に積極的な投資を行い、イノベーションを行っている。

CNNのWebサイトの月間UU数は2億6900万人で、SNSのフォロワー数は1億4600万人にのぼる。そうしたオーディエンスデータを活用し、居住地域や性別・年齢・職業などの属性、また行動履歴などによってセグメントすることで、適切なオーディエンスに、適切なプラットフォームを使って、適切なタイミングで、適切なコンテンツを届けることができ、それはブランドと消費者とのエンゲージメントを効率的・効果的に高めることにつながるのだ。

具体的に、現在活用しているツールのひとつに「CNN AIM」(「A」:オーディエンス、「I」:Insights、「M」:Measurement)がある。CNNのプラットフォームのオーディエンスを、属性やビヘイビア、興味関心などの条件でセグメントし、「誰に対してコンテンツを届けるのか」というクライアントの戦略構築をサポートしている。

また2016年初めにローンチした、ソーシャル広告製品「ローンチパッド(Launchpad)」は、オーディエンスがどのようなインサイトを持ち、日頃どのようなコンテンツに接していて、どのようなブランドに関心があるのかを分析することができる。それを基に、どのオーディエンスにどのようなコンテンツを届けるか、コミュニケーション戦略を企画・実行している。

「データ」と双璧をなす「クリエイティブ」については、クライアントのブランデッドコンテンツを社内エージェント「CNN Create」で企画制作し、ディストリビューションまでを担うことで、ブランドストーリーのクオリティを担保している。このチームは世界中に配置されており、アジアではドバイ、香港、シンガポール、日本の4拠点。広告セールスチームと密に連携し、クライアントのブランドストーリーを、テレビ、デジタル、ソーシャルメディアとさまざまな形で伝えることをミッションとしている。

CNNのクリエイティブの強みは、大きく次の3つと言える。第1に、一つひとつのコンテンツのクオリティが高いこと。第2に、高い編集力に裏打ちされたストーリー設計が秀逸であること。そして第3に、コンテンツディストリビューションに関して、絶えずイノベーションが行われていることだ。

この3つを高く評価し、ヨーロッパ・アジア・アメリカと広範なエリアにおいて、CNNと長年にわたるパートナーシップを結んでいる企業のひとつに、全日本空輸(ANA)がある。具体的なブランデッドコンテンツとして、次の2つを紹介したい。

【1】全日本空輸「Ichigo Ichie(一期一会)」
欧州におけるパートナーシップの一環で制作されたブランデッドコンテンツ。英国、フランス、ドイツ、ベルギーなど欧州における利用客を増やすことを目的に、日本の料理・文化・おもてなしにフォーカスした、44本の動画からなるシリーズだ。CNNの独立子会社であるソーシャル向け動画ネットワークの「Great Big Story(GBS)」が企画制作を担った。

「Ichigo Ichie」のシリーズ第1弾「The Wasabi You Eat Probably Isn’t Wasabi」。

 

【2】全日本空輸「Parts Unknown」
有名な探検家であるAnthony Bourdainがパーソナリティを務め、実際にアジアの都市を訪れて、現地の人々と触れ合いながら、その地に根づく食文化を紹介するコンテンツ。独立したWebサイトも開設されている。

https://explorepartsunknown.com/

CNNがANAと締結している包括的なパートナーシップには、①CNNのプラットフォームを活用してブランドコミュニケーションを行う、②CNNがブランデッドコンテンツを制作する、③施策の効果を測定・レポートする、という3つのサービスが含まれている。CNNはこうしたパートナーシップを、金融、テクノロジー、エネルギーといった幅広い業種の企業と結んでいる。

我々は広告枠を提供するだけでなく、コンテンツやデータを含め、広告主が消費者とつながるためのソリューションを提供していきたいと考えている。つまり、クライアントにとって、単なる広告出稿媒体ではなく、ブランド価値をターゲットに伝えていくためのパートナーにならなければならないと考えているのだ。そのため、近年、多くのブランド広告主が強い関心を寄せている、ブランドセーフティにも十分に配慮している。

──最後に、常にイノベーションが求められるCNNに必要な人材とは。

CNN、そしてニュースやメディアに対して情熱を持っていることが何よりも重要だ。加えて、これはCNNの企業文化でもあるが、新しいものを「試す」「学ぶ」姿勢を持ち、既存の枠組みを超えていくことに意欲的であることも求められるだろう。

また、CNNに限らず、メディア業界で共通することだと思うが、ジェネラリストは不要で、何らかの突出した専門性を持つスペシャリストを求めている。特に、「データアナリスト」「ビジュアライザー」など、10年前は存在しなかったような職能を持つ人材が非常に多く参画している印象がある。オーディエンスデータの分析・活用をビジネスチャンスにつなげていこうという意思の表れとも言えるだろう。