自社の商品に異物混入!緊急記者会見のポイントは

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【前回の記事】「SNSに社外秘の情報が……!そんな事態を防ぐためには?」はこちら

新刊『危機管理&メディア対応 新ハンドブック』の著者で、国内外でメディアトレーニングの講師を務めてきた山口明雄氏が、初心者のための「危機管理広報のいろは」を解説する。

Q.食品会社であるわが社では、お客さまのご指摘で商品にビニール片が混入していることが発覚。自社の工場を調べたところ、機械に点検ミスがあったことが分かりました。この場合、記者会見は実施すべきでしょうか。また、実施する際に、押さえておくべきポイントを教えてください。

A.判断基準は「顧客の感じ方」やトレンド。会見では真摯な対応で報道の過熱を防いで。

社会に対して緊急で説明すべき案件が発覚したとき、広報として最初に行うべき大切なことがあります。最適なメディア対応の仕方を危機管理担当へ提案をすることです。直面している案件を「顧客がどのようにとらえるか」について、広報は肌感覚を磨いて感じ取らなければいけません。事実の告知だけでいいのか、記者会見もあわせて行うべきかの判断基準のひとつは「顧客の感じ方」なのです。

「トレンド」も意識して判断を

SNSを起点にあっという間に炎上が広がる時代。ビニール片の混入より、虫の死骸の混入のほうがはるかに大きなインパクトがあります。2014年末に大学生のネット写真投稿からはじまった「ペヤングソースやきそば」のゴキブリ混入事件は6カ月間にわたって商品の製造販売中止を引き起こしました。さらに2016年10月、はごろもフーズの「シーチキンLフレーク」でも同様の事件が発生した際は届け出た主婦に謝罪しただけで、公式発表も回収もしなかった同社の対応がネットを中心に批判の嵐を巻き起こしました。消費者は“隠蔽している” と感じると、怒りが沸騰するのです。

広報は「トレンド」にも敏感であるべきです。異物混入に関しては、2015年に日本マクドナルドの商品に対する報道も相次ぎ、一時は会社売却かと報じられるほどの窮地に追い込まれました。この時期には他にも多くの異物混入報道がありましたが、一般財団法人食品産業センターの「食品事故情報告知ネット」によると、2015年の異物混入の件数が特に多かったわけではありません。多かったのは報道の量だったのです。

原因がはっきりしているビニール片混入問題などは、通常なら告知だけで済ませる場合が多いですが、不運にも報道のトレンドに乗せられてしまった場合、ただちに記者会見を行うのがベターです。

嘘やごまかしは通用しない

実際に炎上を受けた緊急記者会見を開く場合、開催までの流れは表1の通りです。注意点は以下4点になります。(1)リアルメディアで報道される前に自ら事実を発表する(2)隠蔽をしない(3)真摯に謝罪する(4)再発防止策・被害者対応など今できることをしっかりと説明する。過去にネガティブ報道で矢面に立たされた企業の会見を振り返ってみても、これらの項目を守らなかったことに原因があるケースが多いです。

工場の火災・爆発事故、鉄道や航空事故などの場合は直ちに記者会見を実施してその時点で分かっていることを話し、必要なら周辺住民への安全の呼びかけをします。会見は何度でも行うべきです。一方、不祥事の場合は、素早く沈静化を図るため、なるべく一度の会見で済ませられるよう周到に準備します。いずれにせよ会見に嘘やごまかしがあると報道が過熱するきっかけにもなるので危険です。

なお、記者会見の内容は第三者にチェックしてもらうことが大切です。企業の考えと世論に大きな落差が生じると、謝罪会見が名声失墜会見になってしまうケースも多数見受けられるからです。

山口明雄(やまぐち・あきお)
アクセスイースト 代表取締役

東京外語大学を卒業後、NHKに入局。日本マクドネル・ダグラスで広報・宣伝マネージャーを務めたのを皮切りに、ヒル・アンド・ノウルトン・ジャパンで日本支社長、オズマピーアールで取締役副社長を務める。現在はアクセスイーストで国内外の企業に広報サービスを提供している。2018年2月、『危機管理&メディア対応 新ハンドブック』(宣伝会議刊)発売。

 

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