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コラム

国民総ダンサー時代前夜に考える、ダンスとクリエイティブの幸福な関係

アーティストが語る「リアルな」アーティストブランディング、超入門

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アーティストのブランディングは3段階

ここからは具体的にダンサーの例を上げて、どのように自分をブランディングしていくかの話をしていきます。

個人的な考え方ですが、ブランディングのプロセスは「普通になる」→「特別になる」→「永遠になる」ということになります。

まず、キャリアをスタートした時に、自分のダンスによってなんでもいいからお金を稼ぎたいと思うでしょう。それはインストラクターかもしれないし、自主公演かもしれないし、バックダンサーかもしれません。

まずは先行する先輩たちに追いつかなければなりません。

ここは模倣戦略の段階。真似をするのが圧倒的に早いです。

踊りの技術だけでなく、仕事の進め方など含めて。

戦後日本が急速に欧米に追い付き、いまはアジア諸国が日本に追いつこうとしているのと一緒ですね。自分より上位者と同じことを、より効率的に行う。

先行している人はそこに至るまでに試行錯誤していてコストがかかっているので、そのコスト無しに同じことをやるので、後発の方が有利になります。

この段階はできる限り早く抜け出しましょう。

これで、まずは「普通の」プロフェッショナルダンサーになりました。

ただ、ここは大量に同じような能力の人々が存在している層なので、同じクオリティをより安く提供するという競争が続いていくと疲弊していくことになります。

自主公演にしても、他の人たちと同じようなことしかできないと、客席は友人・関係者ばかりになり、そういう方々も時と共に減っていき…、という羽目に!

ということで次に、いかに「特別」なダンサーになるか、に挑戦することになります。

これはもう答えは簡単で「その人にしかできないこと」、つまりオリジナリティですね。

ダンスの仕事で言えば、技術はもちろんインストラクターとして教えるのがものすごく上手いとか、振り付けをあっという間に作れるとか、以前のコラムでも書いたようにリズム感が無い人をカッコよく見せる振りが作れるというのも、ささいなことですが他の人と差がつくところ。

(全く余談ですが、昔コンテライター(CMプランナーが書いた案をキレイな絵に清書する人)の方でとにかく書くのが速い方がいて、ギリギリだとその方に頼むしか手段がなく、発注がいつも殺到していて広告業界で一番稼いでいるという噂がありました(笑))

そして、もちろん理想は圧倒的な踊り、作品を生み出すこと。これは、技術のベクトルだけ追求していても難しいものがあります。新しい発想、イノベーションについて書いたときにも提示した既存の知の組み合わせ、もそうです。

例えば、KAGEMUさんの作品はビヨンセのライブ(インスパイアを超えています。。。)やその後のプロジェクション×ダンスに大きな影響を与えました。

私もたびたび共演しているBLUE TOKYOもダンス × 男子新体操という新しい分野を開拓し、つい最近America’s Got Talentに出演しています。

次ページ 「挑戦し続けることでブランドは完成する」へ続く