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コラム

国民総ダンサー時代前夜に考える、ダンスとクリエイティブの幸福な関係

アーティストが語る「リアルな」アーティストブランディング、超入門

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挑戦し続けることでブランドは完成する

最後は「永遠」の存在になる。ということなのですが、これは死ぬまで、引退するまでブランド価値を維持する、向上し続けるということです。

ある程度の力があれば、一瞬「売れる」ことはできます。

さらに、芸能の世界で「二回売れて本物」(三回という説も)という言葉があるように、売れ「続ける」必要があります。アーティスト人生は長い訳ですから。

この「永遠」を得るためには、挑戦し続ける、ということに尽きると思います。

挑戦し続けている限り、動的な存在であり続け、新鮮であり続けられるからです。

DAZZLEも演出して頂いた坂東玉三郎さんは人間国宝でありながら、歌舞伎の外の世界にいたDAZZLEに目を向けるだけでなく実際に作品を共に作ってくださいました。

自らも踊られる夏木マリさんにも、ご自身の公演「印象派」シリーズでDAZZLEの長谷川達也を振付に起用してくださっています。

カザフスタンの万博でご一緒した東儀秀樹さんは、雅楽師でありながらカザフスタンでも現地の楽器を購入してらっしゃいましたが、世界各国行く先々でその土地の楽器を購入し演奏しているそうです。

私がご一緒した功成り名遂げた方々ほど、新しい挑戦に貪欲な印象があります。

また、ここまで来ると、ダンス界である程度トップランクになっているでしょうし、さらに、別の業界のエンターテイメント・アートと比べてどれだけ価値があるか、という新たな戦いのフェーズになってきます。

私も自分たちの公演が、サッカーを二時間見るより熱狂があるか、映画を二時間見るより感動があるか、ブロードウェイミュージカルよりスペクタクルがあるか、ということは常に考えています。

ダンサーのみならず、企業のブランディングでもよく相談を受けるのが、作品や商品を発表・発売し、広告施策をやっていても、その時は盛り上がってもすぐゼロになって、ブランドが積みあがっていかないという問題です。

本来、生み出したクリエイティブが階段状になって、登り続けるのが理想。

これは一概には言えませんが、それぞれのクリエイティブを貫いているべき、コンセプトやメッセージが無い、もしくは弱いから起きることだと思います。

特に振り付けやバックダンサーなどの裏方的な仕事ではなく、自分のダンスを作品としてお客様の心を動かし続けるのであれば、自分が何を考え、何を感じてほしいのかという哲学的な問題に真剣に向き合う必要があります。

上手いだけ、カッコいいだけだと、必ずどこかで失速してしまうので。

具体的な手法はキリがないので、ブランディングのプロセスとその時々での考えるべき思考の話にとどめましたが、最後にこれからのアーティストとして持つべきだと私が考える心構えをお伝えします。

よく、若手のアーティストで「日本の客はバカだから芸術が分からない」「関係者は年寄りばかりだから俺の本当の価値が分からない」などと言うだけの人がいますが、他人のせいにしている時点で、もう二流です。

仮にそうだとしても、「分からない人に分からせる」「分かってくれる人たちを探す」しかないわけで、リテラシーが無い人の心を問答無用で打ち抜く作品を作るか、自分の価値を啓蒙するか、海外に行くかという行動でしか解決できないので、即行動しましょう!