渡辺潤平さん×グランジ遠山さんが語る、「突き抜けたコピー」とは

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応募締切まであとわずかとなった第56回「宣伝会議賞」。一般部門だけでなく、今年で3回目を迎える中高生部門も回を重ねるごとに応募が増え、盛り上がりを見せています。第1回から中高生部門の審査員を務めるコピーライター・渡辺潤平さんとグランジ・遠山大輔さんに昨年の審査を振り返ってもらいつつ、中高生部門の応募者の皆さんにメッセージをいただきました。

変なクセのない、ストレートな表現が中高生のコピーの魅力

—第55回「宣伝会議賞」中高生部門のグランプリ作品は、「クリーニングじゃ明日の告白に間に合わない。」でした。お二人は、グランプリ作品のどこに魅力を感じましたか。

渡辺:この作品は、審査会でもぶっちぎりで高い評価を受けていたと記憶しています。何しろ、僕らには書けないというか、思いつけないというか。高校生のリアルな日常の中から生まれてくる発見がすごく鮮やかだった。「そう来たか!」という驚きで、審査員の脳天がすごく刺激されましたね。

遠山:ただグランプリが決まるまでは、結構激論を交わしましたよね。

渡辺:この審査はね、結構もめたんですよね(笑)。

遠山:結果的には賞を獲ることができなかった作品の中にも、おもしろいものがあって。入った票数は少なくても、投票した人の熱意がすごくあるものもあって……。

渡辺:「私はどうしてもこれが……」という議論はありましたよね(笑)。そういった応援演説のようなものがあると確かにすごく良いコピーだな、と思うことも多くて。わりと何度も投票し直したりしましたよね。

遠山:その演説によって票が動いたりもしました。「あ、なるほどそんな捉え方もあるのか、それはめちゃめちゃ良いっすね」という感じで。僕も途中で、投票する作品が変わったりしましたし。

渡辺:そうですね、応援していた人が今度は寝返ったり(笑)。審査そのものも、すごく面白かったですね。

—審査ではどういった部分に着目されましたか。

遠山:彼らが普段思っていることがポンと出ている作品は目を引きますね。それがすごく新鮮で、しかもすごく面白い。

例えば第55回にゴールドを受賞したコピー「俺らにスタバはまだ早い。」(協賛課題:アサヒ飲料)という三ツ矢サイダーのコピーも、大人になってしまうと普通に行ける場所でも、10代の小遣いを考えたらなかなか行きづらいというのは、確かにそうだよな、と思いますよね。しかも、自分のことを卑下している感じがあるのに、全然嫌味に感じられない。そういうところがすごく青々しくて良いなあ、と思いました。

—第1回中高生部門(第54回「宣伝会議賞」)のグランプリ作品が「本気で殴りたい政治家ができました。」(協賛課題:読売中高生新聞)ですが、この時はいかがでしたか。

渡辺:初回だったので、どんなコピーが応募されてくるのかが全くわからない状態で審査したんですけど、すごい熱のこもった言葉が多かった気がしますね。

グランプリのコピーなんてまさにそう。すごく青臭いというか、真っ直ぐな若さがそのまま言葉に出ていた。コピーを書けば書くほど失われていくものがあるんですが、この作品にはそういったものがまったくない、ピュアな思いがそのまま言葉になっているのがわかる。それがいいなと審査員一同ハッとしたのを覚えています。

—中高生のコピーの魅力は、どういったところにありますか。

渡辺:それはやっぱり思いが濃いというか、ピュアだというところですね。僕らのようなプロのコピーライターだと、どうしてもお題を見ると「だいたいこの辺を攻めたらいいな」といったことが経験則で見えてしまったりする。

でも中高生は当然プロではないし、コピーを書くのが初めての人がほとんど。だから「こういうことが言いたい」という思いがそのまま、出ている言葉が多くて。だから、見ていてすごくハッとするものが多かったですね。

遠山:僕はお笑いを18年ぐらいやっているんですが、どうしても変な「手クセ」みたいなものがついている。それはいいのか悪いのか一応技術も身についているわけで。それがはたしていいのかどうかは未だにすごい悩んでいるのですが、そういう技術だけでは出せないストレートな言葉をドカンと出せるのは10代の特権だと思いますね。

渡辺:初期衝動みたいなものでしょうね。初めて書いてみて「すごく楽しい」みたいなことってやればやるほど忘れていくというか。その点、遠山さんも僕もほぼゼロだと思いますけど(笑)。

その先にある技術を磨くというのはあると思いますけど。遠山さんはステージに上がる時はいまだに緊張されるんですか?

遠山:場合にもよりますね。でも緊張しないのもどうかな、と思うので。

渡辺:そうなんですよね。仕事に慣れてくると、ややもすると右から左へ流すように仕事をしてしまう部分もでてくる。「技術が一定のところまでいくと、そこまで毎回、全力投球しなくとも、ある程度のコピーは書けてしまうので。でも、それではワクワクしない。だから中高生部門の作品に「ワクワクドキドキの塊」みたいな言葉が出てくると、それはもう「参りました!」と言うしかない。そこは強いところだと思いますね。

次ページ 「コピーは正解がないのが良いところ」へ続く

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