「P&G’s Life Lab」が問う「What if ? (もし〜なら)
Kathy氏は、同社の「LifeLab」を通じて、飛躍的に進化する科学とテクノロジーを消費者に対する深い理解と組み合わせることで、消費者の生活を改善するイノベーションを提供可能にしているという。そして、そのイノベーションは、とても重要な質問「What if? (もし〜なら)」から始まるというのだ。
「もし、理容室での蒸しタオルを使った髭剃りの体験が毎日できるとしたら?それも、理容師と蒸しタオルなしで」。
この問に答えているのがHeater Razor (ヒーター剃刀)だという。このヒーター剃刀は、ひとつのボタンを押すことで、温かく心地よい髭剃りを瞬時に提供している。
「もし、1枚の自撮りから、パーソナライズされた肌の養生法が得られるとしたら?」
OLAYスキン・アドバイザーは、消費者が自分自身でスキン・ケアを管理できるWebのプラットフォームであり、AIテクノロジーを使用した、美容業界初の機械学習アプリケーションだという。Olayの VizIDテクノロジーが、自撮りすることで、ユーザの肌年齢 や実年齢を理解することができる。このアルゴリズムは、肌年齢を特定するためのエリアを検知するために、5万以上の画像で機械学習されているという。すでに、11カ国で500万人に渡るユーザがパーソナライズされたスキン・アドバイスを体験しているのだ。
「もし、歯ブラシから、パーソナライズされた歯科のオーラル・ケアを受けられるとしたら?」
AIを搭載した、Oral B genius X は、P&G史上最も高度なモデルだという。このデバイスは、ユーザの歯磨きスタイルを瞬時に認識し、個人的なフィードバックすることが可能。AIによって、リアルタイムに正確なフィードバックを行うために、ユーザが口内の「どこ」を磨いているかを認識する機能が備わっている。
「もし、ブランドが店から自宅までスマートだったら?」
SK-II FutureXスマートストアでは、AIのサポートで 肌のスマートスキャンをもとに薦められた商品をさっと手をふるだけで買うことができる。これは、最新鋭の顔認識、やAI技術を駆使した初のARデジタル小売環境だという。
さらにSK-IIのフェイシャル・トリートメント・エッセンスを買うと、付属アプリを通してIoTスマートパッケージを使うことができ、これにより毎日自分にぴったりのスキンケアを把握することが可能になる。
「P&G LifeLab」の成果は、非常にイノベーティブでありながら堅実で実用的だと感じる。これら、FMCG系のプロダクトは市場規模が大きく、変革によるインパクトが大きい。人々の生活様式への影響がダイレクトに起こる領域だ。近い将来、テクノロジー企業に加えてP&Gのような非テクノロジー・非IT企業の存在感が極めて大きくなるのではないか?そのように感じる記者発表会であった。
レポート
森直樹
電通 CDC エクスペリエンスデザイン部長 クリエーティブディレクター
光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。米デザインコンサルティングファームであるfrog社との協業及び国内企業への事業展開、デジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。 日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会の幹事(モバイル委員長)。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST (INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia (PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo 公式スピーカー他、講演多数。
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